法人起業をするには、様々な書類の作成・提出や役所での手続きなどが必要です。
これらの手続きに抜けがあると、法人登記に失敗する可能性もあるため、本記事で大まかな流れを把握しましょう。
法人起業に必要な手続きを8段階で解説
法人で起業するために必要な手続きを下図にまとめました。
上記の流れを1つずつ解説していきます。まずは会社設立の全体像を大まかに把握しましょう。
法人情報の決定
法人設立の際の基本情報を決定しましょう。ここで決めるべき情報には、以下の項目があります。
- 商号(会社の名前)
- 発起人
- 資本金
- 所在地
- 事業の目的
上記は、後ほど解説する「定款(ていかん)」にも記載が必要です。また、社名を決めたら「会社印」の用意もしておくことをおすすめします。
十分な資本金の用意
資本金とは、出資者が会社に支払った金額から決まる一定の金額です。新会社法の施行により資本金は1円以上あれば会社設立ができます。
しかし、資本金は会社の業績から切り離された純資産のため、大きければ大きいほど会社の財務力があるとみなされます。
起業時の平均資本額は300万円と言われているため、この辺りを目安にすると良いでしょう。
定款の作成
定款とは、会社の概要・活動を定めた規則です。また、内容は3つの項目で構成されます。
- 絶対的記載事項:規定・記載必須の情報(商号や所在地など)
- 相対的記載事項:規定は任意だが、規定がある場合には記載必須の情報(株式譲渡制限の規定など)
- 任意的記載事項:規定・記載任意の情報(事業年度や株主総会の議長など)
現在は紙定款の他に「電子定款」が存在します。紙定款は収入印紙代が40,000円かかりますが、後者は不要です。
公証役場での定款認証
株式会社を設立する場合、公証役場で定款の認証を受ける必要があります。認証時に必要な物は以下です。
- 収入印紙:40,000円(紙定款の場合)
- 認証手数料:50,000円
- 謄本代:定款の項数1枚当たり250円
- 定款:3冊
- 発起人の印鑑証明書:1部
- 発起人の実印
※発起人が複数人の場合、全員分が必要
また、認証を受けるには事前に予約が必要です。
資本金の振込
定款認証の確定後、資本金を振り込みます。法人として未登記のため、資本金を振り込む口座は、発起人の個人口座です。
法人登記時に資本金を振り込んだことが分かる書類が要るので、以下の書類を用意しておきましょう。
- 個人口座の通帳表紙と1頁目
- 資本金振込の情報が記帳された頁
法務局での登記申請
資本金振込を終えたら法人登記を行います。その際に必要な書類は以下の通りです。
- 設立登記申請書
- 定款謄本
- 収入印紙を貼った登録免許税納付用台紙:資本金額×0.7%に当たる収入
- 印紙(15万円に満たない場合は15万円分)
- 発起人決定書
- 取締役就任承諾書
- 監査役就任承諾書
- 印鑑届出書
- 出資金払込証明書
- 登記すべき事項を保存した記録媒体:通常はCD-Rに記録
上記を用意し、法務局で登記申請を行いましょう。不備がなければ申請から10日以内に登記が完了します。
法務局での手続き
登記完了後、法務局にて以下の手続きを行います。
- 登記事項証明書の取得
- 印鑑証明書の取得
登記事項証明書は事業開始後に複数枚必要となる可能性があります。1枚600円で取得できるので、5部ほど取得しましょう。
また、印鑑カードとは会社印の所持者を証明する物です。こちらは、印鑑カード交付申請書を提出し、発行してもらうことができます。
各証明書はオンラインでも交付請求が可能です。
オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)
事業開始のための各種手続き
ここまでで法人登記は完了ですが、事業開始前に必要な手続きがあります。以下の事項は事業を始める前に確実に済ませておきましょう。
- 法人口座の開設:銀行
- 雇用保険の届出:ハローワーク
- 労働基準法等の規定に基づく届出:労働基準監督署
- 健康保険・厚生年金保険適用関係届:日本年金機構
- 地方税:地方自治体
- 国税:税務署
起業するために必要な手続き まとめ
上記は法人起業するために必要な手続きの大まかな流れですので、詳細は各段階ごとに関係各所へ確認が必要です。
手続きが多く複雑ですが、とにかく大切なのは始めることです。起業を思い立った原点には、目標があったはず。常にその目標を忘れずに会社設立〜事業開始までを完了させましょう。