コンビニ経営は儲かる?初期費用や成功のための条件、年収の目安を解説

コンビニ経営は、たった8つのポイントを押さえるだけで成功確率を上げられることをご存じですか?

その8つのポイントとは、以下の通りです。

・徹底した人材育成を行う
・幅広い年代の従業員を雇う
・従業員が働きやすい環境を作る
・商品のアピールを工夫する
・フランチャイズの本部を頼る
・軌道に乗ったら複数店舗の経営も検討する
・個人事業主からの法人成りも検討する
・積極的にITを導入する

ちなみに「コンビニは激戦だから成功は難しいのでは?」と考える人もいますが、そんなことはありません。

確かに日本全国に約60,000件もある競合店舗との競争で勝つためには、戦略を練った上でコンビニを経営する必要があります。しかし自分に合ったフランチャイズ契約を結び、成功のための知識を蓄えれば十分に成功は可能です。

そこで、コンビニ経営の特徴や成功のポイント、フランチャイズ契約の選び方などをこの記事でお伝えします。

講師 中村司
人手不足で休みが取れずにブラック…という印象を持たれがちなコンビニ経営ですが、他店舗経営によって年商7億円を突破したオーナーの事例も存在するほど。フランチャイズ契約が基本なので、大手企業の看板を背負えることなどメリットも多いのです。コンビニ経営に興味がある方に知っておいてほしい情報を本記事に詰め込みました。ぜひ、最後までお読みください!
コンビニ以外に起業に興味がある方向けの記事もぜひお読みください。

コンビニ経営者の仕事

コンビニ経営者の重要な仕事は「店舗経営」です。

その日、その月の売上の管理や、仕入、管理費等の資金繰りを細かく確認します。販売可能な商品が他のコンビニと同様のため、仕入や諸費用の管理は重要となります。

また「人材の育成」も、コンビニ経営者の重要な仕事です。

1人でコンビニ運営はできません。また、コンビニ経営者は店舗全般の管理を行うため、細かい品出しやレジ打ちは従業員が行う場合がほとんどです。そのため、店舗を回せる人材を育成することもコンビニ経営において重要な仕事なのです。

コンビニ経営者と店長は別物

「コンビニ経営者=店長」と考えている人もいますが、実際は異なります。

経営者は経営全般に携わる仕事を担う一方で、店長は現場の責任者です。

コンビニの経営者が店長を兼任する場合もあります。しかし、コンビニを複数店舗経営する人は、現場の責任者として店長を雇っているのです。

そのため「店頭で働く店長が経営者とは限らない」ことに留意しましょう。

コンビニ経営の年収目安は600万円~700万円

まず「収入」「所得」の違いについて確認します。

コンビニ経営における収入とは「売上高」を指します。当然、売上高が全て手元に残ることはありません。

売上高から仕入れや人件費などの各種費用を差し引いた金額が手元に残る金額です。この売上高(収入)から各種費用を差し引いた金額を「所得」と言います。

コンビニでは1日でおよそ50万円から70万円程度の売上が発生します。1年に換算すると約2億円前後です。そのため「年収」ベースで見ると約2億円と言えます。

しかし多くの方が気になるのは、手元に残るお金でしょう。約2億円の売上から各種必要経費を差し引いた「所得」は平均で600万円~700万円と言われています。

もちろん売上高や各種費用の使い方によって、この数字は異なります。売上が立たなければ所得は減少します。一方で、売上を伸ばす、もしくは費用を抑えるなどで、手元に残る金額を増やせば、それだけ所得は増加するということです。

コンビニ経営のメリット・デメリット8選

コンビニ経営は会社員とは大きく異なる特性を持っています。コンビニ経営ならではの魅力やメリットもあれば、デメリットもあるのです。

ここではコンビニを経営するメリットとデメリットを解説していきます。

コンビニ経営のメリット4選

コンビニの経営者になると、会社員や他の事業にはないメリットが数多くあります。まずはコンビニ経営のメリットとして以下4つを紹介します。

・常に一定の需要がある
・開業しやすい
・集客がしやすい
・多店舗経営を行いやすい

1. 常に一定の需要がある

コンビニ経営の大きなメリットは「常に一定の需要がある」ということです。

コンビニで取り扱う商品は主に食品や日用品です。これらは生活必需品のため、需要が減少することはありません。そのため、急激に売り上げが無くなることは少なく、長い間経営を続けることが可能です。

2. 開業しやすい

コンビニを開業する場合のほとんどがフランチャイズで開業を行います。

そのため、数多くの開業を手助けしているプロフェッショナルのサポートを受けながら開業をすることが可能です。

また開業後も、本部からのサポートや確立された経営ノウハウがあるため、経営が未経験であっても、比較的低いハードルで経営を進めることができます。このように、特別な準備や知識が少なくても開業が行えるという点もコンビニ経営の魅力です。

3. 集客がしやすい

通常、起業時には多くの宣伝を行い、自身の店舗を知ってもらう所からスタートします。しかし、コンビニの経営では、有名コンビニ店の看板を使用して開業します。

そのため、最初から知名度が高い状態で経営をスタートできるため、顧客が集まりやすいのです。

4. 多店舗経営を行いやすい

コンビニ経営の大きな魅力の1つが「多店舗経営を行いやすい」点です。

多店舗で経営を行うということは、それに比例するように売上高も増加するということです。いずれの店舗も黒字経営が行われていれば、事業を拡大するほど、大きな利益を生み出すことができるのです。

例えば、1年で1店舗ずつ増やしていけば、5年後には年間8~10億円程度の売上高となります。しっかりとマネジメントを行った上で拡大していけば「年商10億円の経営者」になることもできるのです。

コンビニ経営のデメリット3選

一方で、コンビニを経営を行うことにはデメリットがあることも事実です。ここではコンビニを経営するデメリットとして以下3点を紹介します。

・身体的負担が大きい
・契約期間が長い
・裁量権が少ない

1. 身体的負担が大きい

ほとんどのコンビニは24時間365日オープンしています。

もちろん全ての時間で店頭に立つ訳ではありません。しかし、人材不足やアルバイトの急な欠員が生じた場合は、オーナーが代わりに店頭に立つことも多々あります。中には人件費を削減するために、長時間店頭に立つ方もいるでしょう。

このように、他の業種に比べて稼働時間が長い傾向がある点がコンビニ経営のデメリットの1つです。

2. 契約期間が長い

フランチャイズを契約するにあたって「契約期間」が定められています。

有名コンビニ店での例を挙げると、以下のような契約期間となっています。

大手コンビニの契約期間
セブンイレブン15年間
ファミリーマート10年間
ローソン5年間・10年間(契約による)

※コンビニ各社の資料をもとに弊社で作成

このように、フランチャイズの契約は長期間に渡ることが多いです。契約期間内に解約をする際は多くの違約金が発生することがほとんどです。

そのため、開業してから「自分には向いていなかった」という理由で辞めることは難しいということに留意しましょう。

3. 裁量権が少ない

コンビニを開業したら経営者という立場ですが、認められている裁量はそう多くありません。基本的には本部の仕組みやノウハウ通りに店舗を経営する必要があるためです。

そのため「自分の理想を叶えたお店にしたい」などの希望には添えないことが多いため注意しましょう。

コンビニ経営を成功させるためのポイント8選

現在、全国には60,000店舗近くのコンビニが存在します。そのため、コンビニ経営を成功させるためには、同業者との競争に勝つ必要があるのです。

ここではコンビニの経営で成功するためのポイントとして以下の8つを解説します。

・徹底した人材育成を行う
・幅広い年代の従業員を雇う
・従業員が働きやすい環境を作る
・商品のアピールを工夫する
・本部を頼る
・軌道に乗ったら複数店舗の経営も検討する
・個人事業主からの法人成りも検討する
・積極的にITを導入する

1. 徹底した人材育成を行う

コンビニは同じ商品が店頭に並ぶことが多いため、差別化のポイントはそう多くなりません。そのため、差別化が可能な「接客」は重要なポイントです。

老若男女が来店するコンビニだからこそ、マニュアルのみではなく、時には臨機応変に対応できるような人材を育成しましょう。

また、複数店舗を経営する場合は店長も育成する必要があります。その店舗を任せる店長を育成するということは、自身も店長としての知識やノウハウを要するということです。しっかりと人材育成をするためにも、コンビニ経営ノウハウを身につけましょう。

2. 幅広い年代の従業員を雇う

人材を確保する際は、可能な限り幅広い年代の従業員を雇用しましょう。

コンビニは24時間365日営業となっていることがほとんどです。そのため、どのような時期、時間であっても人材が欠けることがないように意識しましょう。

例えば、大学生のみを雇った場合、試験期間などで一気に人材不足になる可能性があります。そこで無理にシフトに入ってもらおうとすると、アルバイトを辞めるきっかけともなりかねません。

そのため、多くの人材の希望に沿えるように、幅広い年代、環境にいる人材を確保することが大切です。

3. 従業員が働きやすい環境を作る

職場の環境や居心地は接客態度にも大きく影響します。気持ちよく働ける環境であれば、活き活きとした接客ができるということです。

反対に、環境が良くないと接客態度にも影響が出て、顧客満足度が下がってしまいます。

また、居心地が悪く、すぐにアルバイトを辞める方も出てくるでしょう。アルバイトがすぐに辞めるような、入れ替わりが激しい職場の場合、人材育成に係る費用や労力が無駄になるため、結果として利益も減少してしまいます。

そのため、従業員が働きやすい、長く働き続けることができる環境整備を行うことが非常に重要です。

4. 商品のアピールを工夫する

コンビニが扱う商品は本部ごとで統一されています。そのため、同じフランチャイズのコンビニ店舗との差別化を図るために上手に商品のアピールを行いましょう。

例えば、商品棚にポップをつけたり、新商品はレジ前に陳列したりするなどの施策を取ることができます。

また、ポップなどがあるとアピール効果以外にも、店内の雰囲気が良くなるというメリットもあります。そのため、新商品や売れ筋の商品などのアピールを意識した店舗作りを行いましょう。

5. 本部を頼る

コンビニ経営で問題が起きた際は、本部を頼ることも大切です。

本部には多くの問題を対処してきたノウハウが蓄積されているため、より的確な解決方法を提示してくれる可能性が高いです。

また、自身で誤った対応をした場合、より大きな問題になる可能性も否めません。そのため、問題が起きて、対応に不安が残る場合は、遠慮せずに本部を頼りましょう。

本部を頼るためにも、普段から良好な関係を築くことが大切です。

講師 菅野一勢
コンビニ経営者と本部をつなぐSV(スーパーバイザー)というサポーターがいます。困ったときには、SVに相談をすることで問題対処の効率化が図れるでしょう。

6. 軌道に乗ったら複数店舗の経営も検討する

コンビニ経営の大きな魅力は、複数店舗の経営が可能な点です。多店舗経営を行うことで、更に大きな利益を得る機会を得ることができます。

もちろん開業当初は、1つの店舗で利益を出すことに集中しなければなりません。1つ目の店舗が軌道に乗ったら徐々に多店舗展開も視野に入れましょう。

7. 個人事業主からの法人成りも検討する

開業当初は個人事業主として開業する人が多いですが、事業の規模が大きくなった際は法人成りも視野に入れましょう。法人成りをすることによって、支払う税金が大きく減少する場合があります

例えば、個人事業主が支払う所得税は、所得が増えればそれに伴って税率も増える仕組みになっています。そのため、大きな利益がある場合、法人税の方が税率が低くなるのです。

また、消費税の課税事業者となる期間も法人成りすることによって2年間遅らせることができます。そのため、消費税の支払いが始まるタイミングで法人成りすることも有効でしょう。

8. 積極的にITを導入する

コンビニ経営で利益を出すためには、ITを積極的に導入することも大変有効です。

例を挙げると、セルフレジの導入や自動発注などです。これらを導入することによって、店員が行うべき仕事が減少します。その結果、1つの店舗に必要な人員が減少するため、人件費の大幅な削減に繋がるのです。

講師 中村司
完全無人店舗のAmazon Goが話題になりましたね!IT化が進めば、人材確保に悩まない時代が来るかもしれません。コンビニ経営を効率化・省エネ化するためにも積極的にIT導入を考えていきたいところです。

コンビニ経営のフランチャイズ契約の仕組み

コンビニを開業する方のほとんどがフランチャイズで開業します。フランチャイズとは、既にある企業の看板を借りて経営をすることです。

その他にも、本部は事業者に向けて、開業までの支援や、経営ノウハウの提供など、様々なサポートを行います。

その一方で、事業者が本部に向けて加盟料や、利益の一定割合を本部に支払うロイヤリティなどを支払う必要があるという仕組みです。

自分に合ったフランチャイズ契約を行うためには?

一概にフランチャイズ契約と言っても、様々な選択肢があります。ここでは、自分に合ったフランチャイズ契約を行うためのポイントとして4点を解説します。

・物件を持っているか否か
・ロイヤリティを比較する
・開業後のバックアップを比較する
・各社の説明会に参加する

1. 物件を持っているか否か

まず、店舗とする物件を自身で準備できるか否かによって、契約内容は異なります。

自身で物件を所有している場合は、その物件を使用可能です。一方で物件を保有していない場合、本部が物件を用意します。ここの違いで開業費やロイヤリティが異なる場合があります。

2. ロイヤリティを比較する

利益の一定割合を本部に支払うロイヤリティは、高ければ高いほど多くの費用が発生します。

もちろん、ロイヤリティが高い場合でも他の制度が充実している等の理由によって選択することも有効です。

しかし、他の条件が同じ場合、ロイヤリティが低ければそれだけ利益になる部分が多いということを念頭に置いて選択を行いましょう。

3. 開業後のバックアップを比較する

フランチャイズで開業することによって、開業した後であっても本部のバックアップを受け続けることができます。

このバックアップの内容は本部によって異なります。具体的には最低年収の保障や、経営に係るアドバイスなどです。

そのため「ロイヤリティが安いから」という理由だけで選択せずに、バックアップも含めて総合的に判断することが大切です。

4. 各社の説明会に参加する

各コンビニごとにフランチャイズの説明会が行われています。説明会の場合、ホームページでは分からなかった点も知ることができ、疑問も直接確認ができます。

そのため、主な候補の説明会に一通り参加してから決定すると、不明点を残すことなく決定することができるでしょう。

コンビニ経営のフランチャイズ制度 大手3社の加入条件

コンビニを経営するのには特別な資格は不要ですが、本部によって加入条件が設定されています。

主なコンビニの加入条件や初期費用は以下の通りになっているため、参考にしてください。

本部タイプ物件の準備主な加入条件初期費用
セブン-イレブンAタイプ・60歳未満の方
・親族2人での専従が可能な方
315万円
Cタイプ不要・60歳未満の方
・親族2人での専従が可能な方
260万円
ファミリーマート1FC-A・店舗運営のための土地・建物をお持ちの方
・健康、勤勉で熱意のある方
150万円
1FC-B・店舗運営のための土地・建物をお持ちの方
・健康、勤勉で熱意のある方
150万円
1FC-C不要・2人での専従が可能な方
・開業資金の内1,000万円程度(曽木費用含む)を手元資金として準備できる方
150万円
2FC-N不要・20歳以上70歳未満の方
・親族2名で専従できる方
・初期費用の他に、開業に係る各種費用を準備できる方
150万円
ローソンFC−Bn 契約・20歳以上
・2人で専従が可能な方
・店舗の近くに在住している方
110万円
FC-Cn 契約不要・20歳以上
・2人で専従が可能な方
・店舗の近くに在住している方
210万円
FC-5Cn 契約不要・20歳以上
・2人で専従が可能な方
・店舗の近くに在住している方
210万円

まとめ

現在日本には約60,000店舗のコンビニは存在します。その中の競争で勝ち抜くためには、経営で成功するためのポイントを押さえ、自身にあったフランチャイズ契約を選択する必要があります。

当記事では、コンビニ経営の特徴や成功のポイント、フランチャイズ契約の選び方を解説しました。

コンビニを経営を検討している方は当記事を参考にして、開業への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。