山本大平氏『トヨタの会議は30分』「利益は後」と考える起業家が最後には勝つ

山本大平様

Amazonでもベストセラーとなった『トヨタの会議は30分』

その著書・山本大平氏は、現在経営コンサルティングなどのサービスを提供するF6Designの代表取締役として日々ご活躍されています。

今回の記事では、そんな山本氏に起業成功のために必要なマインドセットや手法をお聞きしました。

著書について

小澤:著書である『トヨタの会議は30分』を読ませていただきました。基本的には、トヨタで山本さんが学ばれた仕事術がメインの書籍でしたが、本を読む中で「社会に貢献したら後から利益が付いてくる」というような考え方があったかと思います。

山本:そうですね。本の中に記載ある様に『売値も市場が決める(ことになる)』と教わりましたね。

小澤:弊社の起業スクール、アントレカレッジでも「三方良し」という考え方で、売り手だけじゃなくて、買い手と世間が「良し」と思ってもらえる事業をやりましょう、ということをお伝えしています。だから、その感覚はとても分かるな、と。

山本:そうなんですね。

小澤:そこがすごく類似性があると思いましたので、後半にはそういうマインドの方もお話しできたらなと考えています。

F6 Design株式会社での活動

トヨタの会議は30分 山本大平

小澤:今F6 Design株式会社を立ち上げられて、具体的にどういう活動をされているんですか?

山本:現在は、経営コンサルティング・DXマネジメント・ブランディング・CXマネジメント・クリエイティブ・経営者メンターという6つの切り口でサービスを提供しています。

トヨタの会議は30分 F6Design
F6Design HPより掲載

ただあくまで6つの軸をHP上では紹介していますので、さらにその6つから細分化された案件を依頼される形がほとんどです。詳しくはHPをご覧頂ければと思います。

小澤:他社に比べての特徴などありますか?

山本:はい、あります。弊社は「次世代の経営戦略ノウハウでビジネスをデザインする会社」です。

小澤:次世代の経営戦略ノウハウ、ですか。

山本:ここで言う次世代とは、分かりやすくは「AI導入」や「データ活用」です。

小澤:なるほど。「統計学やAIを駆使したオリジナルマーケティングメソッド」と書かれていましたね。

山本:AIの原理原則を理解せずに、AIを導入している会社が多いのも事実なんです。あと、いわゆるAIでもないのにベンダー側がAIと名前付けてクライアントにツールを売り付けているといったことも良く目撃します(笑)

ただ、私はたまたまトヨタで量産車の品質を担保する上で必要であった多変量解析という学問を深く学んできたので、ビジネス上のAIの落とし穴を見破ることができたりします。多変量解析も知らずAIは語れないからです。

「AIの原理原則って何?」「機械学習って何?」という点がクライアントにとってもブラックボックスだったりすることが多いので、AIを導入する際には、どのベンダーのものが最適か、この局面ではどのAIツールを入れるべきかなど、弊社ではクライアントの課題解決に最適なデータマネジメントのあり方から提案を行います。

その上で機械学習の機能を実装した方が良い場合や、そもそもそのモデルすら内製で作るのか外注するのか、はたまたベンダーのAIツールを導入するのか否かといったことを織り交ぜながら、経営や事業のDX化をご支援をする案件が非常に多いです。

また、笑い話ですが、昨今ではそもそもAIでもなんでもないただの自動化ツール(Automation Instrument?)を「AI」と名付けている様なサービスやツールも出回っているので、「What’s AI?」「Why AI?」といった原理原則を、クライアントにインプットするところからコンサルさせてもらってたりしています。これはどのクライアントにも結構喜ばれますね。ここまで分かりやすく、AIや機械学習のことまでを教えてくれるコンサル会社は無いと。

トヨタのプレゼン大会がAI導入コンサルの礎に

トヨタの会議は30分 山本大平

小澤:そういえば、書籍の中でもトヨタのプレゼン大会に参加するために多変量解析を勉強するように上司から命じられたと書かれていましたね。

山本:そうですね。プレゼン大会に参加するためではなく仕事で必要だったのだすが、コンテストがありました。そして、その学問を勉強しているうちに楽しくなってきて、最終的には運良くトヨタで開催されるその多変量解析のコンテストで優勝したんです。

この統計学の礎が現在では先ほど述べたAIやIoTの分野で、特にAI導入コンサルを行う上では役立っていますね。勿論私だけではなく弊社ではそういったデータマネジメントに精通しているコンサルタントが沢山おります。

小澤:その統計学やノウハウはDXやAI導入以外のコンサルティングにも使えるのでしょうか。

山本:はい。経営戦略や事業戦略あるいはマーケティング戦略のどんなお題に対しても、この統計学のノウハウは応用可能です。言ってしまえば、ビジネス上の全ての問題や課題に対して使えます。

仮説すらデータドリブンで導けます。野球の世界で言えば野村監督のID野球といったところでしょうか。つまり配球が読めるんです。このままだとどうなるか。では一部を変えるとどうなるかといった予測まで定量的にできちゃいます。

小澤:ただデータは過去で未来には使えないという話も聞きますが。

山本:いえ、その考えは違います。次にカーブが来るか、フォークが来るかはよめます(笑)。未来には使えないと言っている方がいるとすればAIを全否定していることと同義と言っても過言ではありません(笑)。

データ活用にも仕方があって「多」変量という点に意味があります。ほとんどの会社ではエクセルを使って2変量(XとY)のグラフを沢山並べてデータを分析されている会社が多いと思いますが、「多」変量分析、の「多」にその真意があります。

この「多」はデータ量が多い少ないの「多」ではなく、分析を2次元で行うのか一挙に「多次元」で行うのかの「多」なので、多変量解析で課題の分析を行うのと、2次元で分析を行うのとでは、分かりやすく例えると、MRIでの診断とレントゲンでの診断くらいの差があります。

小澤:ではなぜ、未来(配球)がよめるのでしょうか。

山本:多変量解析の中でも回帰分析という手法があって、蓄積したデータから予測式(モデル)を作成することができるからです。すごく雑な言い方をすると、ビジネスシーンで効率化や最適化にAI導入が必要とされているのはこのモデル式のことだと捉えて頂いても一旦は良いかもしれません。

AmazonやNetflixのリコメンドも根本は同じ原理を使ってます。「これを見た人はこれも見るだろう」と最適化したリコメンドをしてきますよね?ただ一旦今は小澤さんに分かりやすく伝えるために凄く単純化して言ってます(笑)。専門的にはそれだけではないので。

経験則だけで事業は成立しない

トヨタの会議は30分 山本大平

小澤:確かに、経験則だけでコンサルをしているという人も少なくはありませんよね。

山本:そうですね。ただ経験則はいずれズレていきます。なぜなら一人のコンサルタントやプロデューサーが触れる情報量にも限界があるからです。誰しも24時間が平等に与えられていますから。

その結果「俺はこれまでこのやり方でやってきたんだ」という成功体験をベースにした手法では、そのときは成功したとしてもそのうち世の中と乖離は出てくるはずです。

勘を使うのならば、MRIのデータもこまめに確認した上で、勘を使わないと、失敗する率は高くなっていきます。医療で言うとご診断が起きやすくなるのと同じです。触診や問診だけでは限界がありますよね?

そのため弊社では、成功率を上げるために「統計モデル(数学)」も駆使してコンサルティングをしています。もうこの時代に「おそらく流行りの胃腸風邪でしょう」という診断(コンサル)ではクライアントに対して無責任とさえ思っています(笑)

小澤:確かにそうですね。

山本:ただ、最後の判断は実は直感になります。これも陥りやすい罠です。なぜなら全てのものごとがデータ化されている訳ではないからです。

すべてがデータで分かり解決できる時代(またそうなる)という思い込んでいる方がいるならばこれも大きな間違いなんです。ただデータを”MRI”としてビジネスに使わないのは勿体ないですよね?という話です。

例えば、競馬で言ったら「この馬勝つんじゃないかな」とか。過去の結果を統計データとしてモデルを作って学習させれば、競馬で馬券を買って儲けるといった回収率は上がるんですよね。

以前ありましたよね?モデル作って競馬で稼いで、それってもはや事業だから税金払わないといけないんじゃないの?みたいな話題。

小澤:ありましたね。

山本:なので、こういった機械学習は競馬でも使える訳ですから、ビジネスにおけるマーケティングにも活用可能です。コロナの様な天変地異が起こらない限りは、そんなに急激に人間の態度変容が変化することは無いんですよ。

例えば、日本でビールの摂取量はどう変化していくのかとか、マイホームを持つ世帯数はどれくらいに変化していくのかとか、日本人が生命保険にいくら払う様になっていくのかとか、なども未来予測はしやすい内容ですね。

F6 Design株式会社立ち上げのきっかけ

トヨタの会議は30分 山本大平

小澤:そういうアイディアを持たれてF6 Design社を立ちあげようっていうスタートだったんですか?

山本:いえ、そこはちょっと違いまして。そもそもTBSのときに遡ります。大変有り難いことに気付いたら数多くのプロデューサーから視聴率を上げるための相談を受ける機会が増えてきました。

それで依頼のあった番組でプロデューサーとマーケティング施策を企画して視聴率アップを達成することが増えてきて、その成果を重ねていくと、関係者の方々に凄く喜んで貰えて、それがとても嬉しく感じる様になりました。そしてもっと他の大きい課題解決もやってみたいと自然と思うようになっていったんです。

そこで番組やイベント事業以外にもコンサルをしたいと考える様になりコンサルとしての独立を考え出しました。

小澤:そうだったんですね。

山本:ただいきなり起業して独立するよりも、今後競合となるであろう大手のコンサル会社(まだ全然遠いです(笑))がどういうビジネスを展開していて、クライアントは「コンサル会社に対してどのようなネガティブ(不満)を持っているんだろう」ということなども、まずは自分の目で確かめてから起業した方が自社の事業が成功する確度は高まると思いました。

小澤:いきなり起業!ではなく、競合調査から始められたわけですね。そこで差別化を図ったと。

山本:例えば、大手の外資コンサル会社へ頼みたいけれどFeeが高くて頼めないといった会社もかなり多いと分かってきましたので、うちの会社はその様なクライアントのお役に立てれば良いとターゲットを絞りました。

また、弊社は私がトヨタで培った原価低減も得意としています。つまりF6に頼んだ時点でまず利益アップが確定するんです。それは弊社のコンサルFeeを上回る原価低減を必ず行えるからです(どの会社もなんだかんだで無駄は多いです)。そしてその上でさきほど述べた様な手法を駆使して売上アップを図っていきます。

まとめると「クライアントが損せずに売上を上げるコンサル会社」これがF6 Design株式会社なんです(笑)

「社会に貢献すれば後から利益ついてくる」

トヨタの会議は30分 山本大平

小澤:最初の方にも話が出たのですが「社会に貢献すれば後から利益がついてくる」というお考えを書籍の方に書かれていたと思います。そういうお考えは、やはりトヨタの方で培われてきたんですか?

山本:そうですね。培ったというか…実は叩き込んで頂いたといいますか、私は良く叱られた奴でした。

若手の頃は「それって綺麗事ですよね?」と言っちゃってたんですよ。でもその考えだけは書籍にもある様にこっぴどく叱られましたね。「お前はなんもわかってない」と。

小澤:そうなんですね。(笑)

山本:そのときは分からなかったですけど、今は叱って頂いたことに深く感謝しています。

付け加えるとトヨタはそもそも答え(何故か)を自分で考えさせる会社なので、まずもってこんな風に答え(間違いの訂正)をその場で教えてもらうことは後にも先にもこのときだけでしたね。それだけ「なんもわかってないどうしようも無い奴」だったのです。

今でも分からないことだらけな奴なんですが。おかげさまで当時よりは少しはましにはなった様な気がします(笑)

小澤:そこから、このマインドが正しいかもって思ったきっかけがあったんですか?さっき経営をしている中で感じることが増えたとおっしゃっていたんですが。

山本:はい。結局は商売そのものの考え方がそうなんだと思いますが、市場にニーズがあって、そのニーズに「適正」に応えられて、初めて対価が生まれるんだなと。なので成果を出せば利益は後から付いてくるということを今も自社を経営して実感しています。但し注意は必要で、テイカーさんもいらっしゃいますから、そこは経営をする上では弊社も見抜かないといけません。

小澤:テイカーの見抜き方はありますか?

山本:基本的にどれだけ弊社が尽くして結果も出して貢献できていたとしても、それすら当たり前と思われ、感謝の片鱗も示して頂けない様な人たちでしょうか。

小澤:その場合はどうしますか?

山本:その様な会社ほど、どんどん人が離れていって、ダメになるはずなので(経験上、先細りをする典型例)、弊社側から契約を更新しない様にしています。時間は有限なので大義のある会社さんへのサポートに時間を費やす様にしています。

これからの起業家へ

小澤:それではこれから起業を志す方々に向けてのアドバイスをいただけますでしょうか。

山本:自分自身もまだ手探りでやっているところなので、私がアドバイスなんておこがましいなっていう前提があるんですが…。

私は起業の際には下記の様なイメージを持つとバランスが良いのなと経験から感じています。横軸が「努力の量」で縦軸が「成功」です。

山本大平 起業成功グラフ

これから起業する人って圧倒的に努力すればそれに比例して事業が成功に向かう(向かいたい)と思っている方が多いと思います。

でも私自身、F6 Design株式会社の立ち上げ当初は本当に大変でした。そこを耐え凌いで耐え凌いで耐え凌いでいくといつかは成功の風が吹き出しました。

そして努力することは当たり前で、またその当たり前が報われるかどうかすらも分からないので、これから起業される方は覚悟と上記のイメージ(希望)をもって起業されてください。

小澤:この曲線を想定していたら大変な時期も乗り越えられる、と。

山本:乗り越えられるかは分からないですが、伝えておきたいことは直線的にはいかないよ、ということです。

最も成長できたのは起業だった

トヨタの会議は30分 山本大平

山本:そしてもう1点、先に起業した身として伝えるならば、人生でもっとも自己成長できたのも自分で会社を立ち上げたときでした。もちろんトヨタ、TBS、アクセンチュアでもありがたい経験値を積ませてもらいました。

ただ起業で得られる経験値は、自己成長の観点でみても、サラリーマン時代では決して得られない類のものばかりです。またその経験値の量(絶対値)も圧倒的に大きいです。なぜなら苦労のレベル感が違うからです。

毎月給料が振り込まれるのと、明日どうなるのかすら分からない状況とでは、上手く事業が回っているときでさえも、必ず起業家には24時間不安は付いて回ります。

そして給料を貰えていた時代に深く感謝する様にもなります。給料を貰えることが当たり前ではないのだと。この感覚は、自分で給与を払う側にならないと伝わらないかもしれません。

自分で起業して、自分で会社を守り、自分で社員も守るって本当に大変です。

ただこんなに自分も成長できて、こんなに仲間とハラハラドキドキな毎日を過ごせるエキサイティングな環境は、私は起業の他には知りません。

リスクを取る分、成功軌道に乗った際のリターンは金銭的にも大きいですが、起業して苦労するところにも人生の経験値という大きなリターンは存在していると思っています。

日本でも失敗が許される風土に変わりつつあるので、どんどん挑戦する起業家が増えてくれればいいなと思います。そしてその頑張りはきっと誰かが見てくれていますから。

小澤:素敵なメッセージをありがとうございました。

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