社会起業塾イニシアティブは複数の社会起業家向けの塾によって運営されており、入塾するにあたり4つのメリットがあります。
- 大手企業によるバックアップ
- 8ヵ月の長期プログラム
- 充実した講義と個人ワーク
- 卒塾後の幅広いネットワーク確立
SDGsなど、より良い社会でのあり方が注目される時代に、社会貢献への取り組みと、一生の仕事を融合させたいと願う人が増えています。
しかし、社会起業家のステップを踏むための土台作りに悩む人も同時に抱える傾向です。
そこで、新しい社会起業家の育成プログラムを提唱するのが、社会起業塾イニシアティブです。
今回は、社会起業塾イニシアティブとは何か?そのメリットやデメリット、口コミを中心に紹介します。
社会起業塾イニシアティブの特徴は?
日本は先進国と呼ばれながらも、少子高齢化・経済格差・貧困・過疎化といった諸問題を抱えたままです。
各問題をできる限り解決するビジョンを持った起業家を社会起業家と呼びます。
「20年後の未来を創るために、今求められている社会起業家の存在」を育てることが、社会起業塾イニシアティブの目的として、公式ページでも謳われています。
可能性を秘めたスタートアップ期の多くの社会起業家から選抜し、さらなる事業加速を高めるプログラムを提供しています。
本項では具体的に、社会起業塾イニシアティブの業務内容について下記2点を解説します。
・企業が社会起業家の育成を支援
複数の社会起業塾によるプラットフォーム
社会起業家イニシアティブとは、2002年からスタートした社会起業家支援のためのプラットフォームです。複数の大手企業が運営する起業塾同士で連携しているのが特徴といえます。
お互いに共通なプログラムを介しながら、社会貢献できるアイデアを持った新しい起業家を輩出させるのが目的です。
セクターを越え、多様なビジョンを掲げながら、そのうねりの中で新しいモノを生み出そうという狙いがあります。
今までにない社会貢献の仕組み作りと変革をモットーに「チェンジ・エージェント(担い手)」としての社会起業家を輩出すると公言しています。
企業が社会起業家の育成を支援
2010年の中小企業庁が調査したデータ「起業家の収入、仕事、生活に対する満足度」によると、起業家の多くは、実収入に対する不満を感じることが多いものの、仕事や生活洋式には、ほぼ満足している人が多いとされています。
つまり、起業家が収入面に不満を持っていても事業を続けられる理由は、仕事へのやりがいと、生活そのものの充実さから、うまく成立できてしまうからでしょう。
また、同じく中小企業庁によるデータ「男女別起業の動機・目的」では、女性起業家のほうが、社会貢献などの動機や目的で起業する割合が高いとされています。
以上の動向から、実益を伴いつつも、世の中で自分の価値が認められたいと願う人が増えています。
できれば、誰かを救えるような貢献度の高い仕事をライフワークとして選ぶ傾向が強くなっているのです。
そこで、有数な企業の中には、社会へのさらなるアプローチの一環として、社会起業に力を注ぎ始めているケースが目立ってきました。
利潤追求をしながらも、社会貢献にも参画したいという大手企業が増加しています。
社会起業塾イニシアティブは、数社の有名企業がオフィシャル・パートナーやプログラム・パートナーとなって支援をしています。
社会起業塾イニシアティブの特徴
社会起業家として独立や事業展開をするのであれば、社会と向き合いながら、自身を変革させて柔軟に対応できるマインドが必要です。
それと同時に、事業推進のミッションと志なども強く持たなければならないでしょう。
社会起業塾イニシアティブでは、徹底して育成するプログラムを保有しています。その大きな特徴について以下3点を解説していきます。
・社会を変える事業戦略を磨き上げる集合研修
・先輩経営者を交えた経営戦略会議
専門家などから学ぶキックオフ講座
社会起業塾イニシアティブでは、本科プログラムに進めば、経験豊富な有識者や専門家によるキックオフ講座が設けられています。
社会起業をした場合の、顧客との接点とその姿勢についてや、計画を描くための視点の捉え方といった、社会事業の形成に必要な思考などを学べます。
社会を変える事業戦略を磨き上げる集合研修
社会起業塾イニシアティブでは、8か月間を3つのパートに分けて集合研修を行います。
その中で、自分の目指したいゴールを決定させ、逆算しながら具体的な事業の在り方を描いていけるよう、各自の経営戦略を作り上げていきます。
先輩経営者を交えた経営戦略会議
入塾者には、プログラムを進めていく過程の中で、先輩経営者やパートナー企業を交えて、戦略会議を実施する時間も設けられています。
そこでは模擬的な形式で、自分のビジネスプランを説明することになります。なお、先輩経営者などは、この塾の企画運営を行うNPO法人ETIC.(エティック)のネットワークより選ばれています。
社会起業塾イニシアティブのメリット
大手企業が自社の強みやコネクションを生かし、社会起業家を育成する動きの1つとして、社会起業塾イニシアティブが存在します。
社会起業塾イニシアティブの概要から、どのようなメリットがあるのかについて以下4点を解説します。
・8ヵ月に及ぶ綿密なプログラム
・さまざまな講義や個人ワーク・メンタリングが充実
・起業家としてのネットワークが広がる
NECや花王など大手企業がバックアップ
社会起業塾イニシアティブは、主に2つの大手企業の起業塾から成立しています。
オフィシャル・パートナーとして、NEC社会起業塾、花王社会起業塾がお互いに提携し、各企業の理念や事業テーマに沿うような若い起業家を選抜して育てていきます。
各社での社員同士の接点を促しながら、自社リソース・ネットワーク提供などを展開し、事業の加速を目的に運営されています。
8ヵ月に及ぶ綿密なプログラム
社会起業塾イニシアティブでは、8カ月に及ぶプログラムによって、起業家を育成するシステムが確立されています。
まずは、予科プログラムと称された約1カ月程度の行程です。
内容は、社会起業上で重要なマインドを伝える講義の授業から始まり、ワークショップ・メンタリングといった過程を経ていきます。
メンタリングとは、マンツーマンの育成方法で、入塾者に近い先輩が教育の一部を受け持ちます。
予科プログラムの最後にはプレゼンテーションを行い、最終選考で選ばれた人は、本科プログラムへと移行できる流れです。
本科プログラムでは、集合研修などで実践を繰り返しながら、メンターや先輩起業家とも交流し、自分が向き合う課題について練っていきます。
本科プログラムの期間は約半年を掛け、自分のオリジナルな事業を成立させ、最後に発表会を行うという形式です。
さまざまな講義や個人ワーク・メンタリングが充実
予科プログラム、本科プログラムの双方共通に、さまざまなワークやメンタリングの時間が設けられています。
最初は漠然としていた起業アイデアも、先輩起業家や卒業生からの助言を取り入れながら、徐々にブラッシュアップできるのがメリットです。
特にこの起業塾の創業時から拘わってきたコーディネーターが、個別でも相談にのってくれるのも魅力です。
塾生当人が直面する経営課題への取り組み方を、アドバイスやサポートしてもらえるシステムになっています。
起業家としてのネットワークが広がる
起業には、1人で事業を立ち上げる孤独な作業という印象があるかもしれません。
下図を見ると分かる通り、起業時には同じような立場の人との交流が不足していると感じる人は多いようです。
しかし、社会起業塾イニシアティブは、共に学びあう多くの仲間ができることが最大のメリットといえるでしょう。
塾生は、同じ立場・同じ課題の共有をしながら、ともに考えるプロセスを踏んでいきます。
授業の中でも「起業塾生同士による相互メンタリング」が用意されていると、公式サイトで謳われているほどです。
他にも、入塾者の事業の進捗を確認しながら、卒塾者やパートナー企業からの各種サポートが受けられる仕組みです。
各社の強みを活かした分科会が開催され、同期生やOBOG・パートナー企業の中からも参加されています。
塾生は、決して1人で孤立した状況ではありません。悩みや不安の解消、新しいヒントの享受など、刺激受けながらも自然と成長を遂げることができるでしょう。
社会起業塾イニシアティブのデメリット
次に社会起業塾イニシアティブのデメリットとして以下4点を解説します。
・正式な塾生になるには制限がある
・復習しないと置いていかれる
・正解が見えにくい課題に取り組む
個別指導が中心ではない
社会起業塾イニシアティブが塾という形式をとっている以上、複数の塾生が多く存在し、同じ時間に共通のカリキュラムに則って進行されることになります。
個別サポートも提供しているようですが、基本的にはカリキュラムを予定通りに進行させる必要があり、指導の時間も限られています。
完全に集中した形式で、塾生個々へのサポートには限界もあるということです。
正式な塾生になるには制限がある
社会起業塾イニシアティブは、革新的なアイデアのある社会起業家を輩出させるため、トータルで約8ヵ月に及ぶプログラムが予定されています。
そのすべての過程を終了できた人物こそが、正式な塾生としてやがて卒塾できます。
予科プログラムの行程を終えた時点で選考があり、選ばれれば本科プログラムへの段階を踏めます。つまり、必ずしもスタートした全員が最終段階まで登りつめることはないのです。
途中で脱落してしまうケースもあるというのは、デメリットといえるでしょう。最後まで残った人物が優秀かどうかなど、実際の起業の世界ではわからないことです。
顧客満足度が高く、利益があり、社会的に認められるかどうかは、やってみなければわかりません。途中で脱落した起業アイデアのほうが、後々にヒットすることも考えられるからです。
年齢制限もある
また、社会起業塾イニシアティブへの応募条件として、18歳以上39歳までという年齢制限があります。この年齢制限もデメリットの1つです。
若く将来的に有望な人材を育成したいという理念から、そのような制限があります。
しかし、現実的に起業をするパターンは、高齢者もかなり増えているのは事実です。
2014年版、中小企業庁が調査した中小企業白書「起業希望者及び起業家の年齢別構成の推移」によれば、2007年頃より60歳以上の起業者が増加し、79年当初の約5倍に達しています。
すべての老齢者とまではいきませんが、定年を迎えた人が、各人の事情を踏まえて、再就職よりも起業によって残りの生涯を送る選択をしている証拠です。
そこで、別枠でも60歳前後のシニア向けの社会起業家育成のコース併設をすれば、また切り口が変わるかもしれません。
復習しないと置いていかれる
その名が示すように、起業塾である以上は、複数の人々が集まり同じ時間を過ごす機会が多いわけです。
1つの課題内容が理解できていないと、新しい段階に進むことは難しく、授業内容は各自で復習しなくてはなりません。
知識の理解度などで、個人差も生じることが否めないのです。
講義やカリキュラムについていけない人は、ますます置いていかれてしまいます。ある程度のフォローはしてくれても、時間制限もあるので、個別での完全なフォローは不可能そうです。
正解が見えにくい課題に取り組む
社会起業塾イニシアティブに限らず、一般的な起業塾すべてに共通なデメリットがあります。
それは、入塾した生徒が、最終的に満足できる結果を得られる約束ができない点です。起業をして成功を収めるのが最終的成果です。
どれほどカリキュラムや行程が優れた起業塾であっても、成果の保証が確実ではないと自覚しておく必要があるのです。
社会起業塾イニシアティブに入塾する際の注意点
起業をしたいのであれば、開業届を提出すれば誰にでもできます。しかし、社会起業塾イニシアティブのような起業塾は、最近になって人気が出てきました。
それは誰しも起業について、あらゆる不安と疑問があり、少しでも改善させたいと願っているからです。
ここでは、社会起業塾イニシアティブへ入塾する際の、その後の成果や注意点を述べていきましょう。
あくまでも「塾」だということ
まずはっきりさせたいことは、社会起業塾イニシアティブへ応募して全課程を終了させても、社会起業家として大成できるのかは未知数だということです。
あくまでも塾とは、補助的なものだと思うべきでしょう。学ぶことは大事ですが、学ぶ楽しさにだけ酔い、実践が伴わなければ意味がありません。
そうなると、いったい何のために起業を志したのか、理由がぶれ始めてしまいます。
最終目的が必要
起業塾も、起業するための手段になるでしょう。大人になっても学び続ける姿勢は大切ですし、起業したら一層強化しなくてはなりません。
しかし、本当に起業したいという思いが揺るぎないのであれば、目的と手段を取り違えないように、冷静に判断し続けることです。
なぜ、何のために、自分は社会起業家になりたいのか?を何度も心に問いかけ続けましょう。
世のため、人のために仕事をしたいというあいまいな答えだけでは務まりません。
具体的に、どんな方法で、どのような人々をどう豊かにして、自分もどの程度の利益を得たいのでしょうか?
社会起業塾イニシアティブの口コミまとめ
最後に社会起業塾イニシアティブの口コミを見ていきます。
社会起業塾イニシアティブの良い口コミ
卒業生からの満足度が高い社会起業塾イニシアティブ。口コミからもカリキュラムの充実度が伝わってきますね。
社会起業塾イニシアティブの悪い口コミ
社会起業塾イニシアティブの費用・期間・学べること
学べること | 少子高齢化・経済格差・子どもの貧困・過疎化などの社会問題を解決するための起業方法 |
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期間 | 8か月間 |
費用(2022/4/4現在) | 公式HP上に記載なし 参加にまつわる必要経費を上限5万円まで補助する制度あり |
まとめ
社会起業塾イニシアティブへ応募される人は、既にNPOなどの法人や団体に所属して、社会貢献に関与した業務をこなしている人が多い傾向です。
このため利益を獲得するというよりは、自身の活動がいかに社会へ良い影響を与えていくかという方向に重点を置いています。
社会起業に興味がある人にとっては良い環境ですが、事業として収益もしっかりあげたいという人には物足りないかもしれませんね。