サドグル氏から学ぶ「社会と起業家が発展する起業のヒント」

サドグル・ジャッギー・ヴァースデーブ氏。彼は、インドのヨギ、作家、そして詩人でありながら、世界中でヨガのプログラムを提供する非営利団体イシャ・ファウンデーションの創設者でもあります。

また、大規模な人道的向上プロジェクトや環境修復活動などの幅広い分野でも活動をしています。

彼は人々をより豊かにするためには、どうすれば良いのかを考え続けてきました。手順や方法は違えども、世界を変えたいという、同じ熱い思いを持つ起業家たちに、彼自身の経験も踏まえながら語っています。

win-winの関係が持続可能なビジネスを作る

サドグル・ジャッギー・ヴァースデーブ

サドグル氏は、長期的に事業が続く秘訣として以下のように述べています。

この20年間、私は世界のビジネスリーダー達に注目してきました。なぜなら世界経済フォーラムに集った1200人のビジネスリーダーが世界経済の約80%を動かしているからです。もし彼らの考えや信念が変われば、世界がきっと変わります。

インドで企業の社会的責任として、2%の増税がおこなわれた時、多くの人は、教育や医療の拡充のために非常に有用であると考えました。

しかし、私はこの増税は良いとは思っていません。私が反対していると知ると、みなさん驚きます。

私はビジネスとは、ビジネスをおこなう者と、そのビジネスの恩恵を受ける者の、両者にとって利益がないといけないと考えています。

両者それぞれに利益があって初めて、そのビジネスはサステイナブル(持続可能)であるといえるのです。両者に利益があるという点では、ビジネスと結婚は似ているかもしれませんね。もし両者に利益がもたらされないような形を作っても、テコ入ればかりせねばならなくなり、結果的に存続しません。

アントレカレッジでも「四方よし(売り手・買い手・世間・神様)」の事業を推奨していますが、やはりその事業に関わる全ての人が満足できるものでなければ長続きはしません。

サドグル氏の視点をもとに起業アイデアを考えてみることで、より長続きする事業を生み出すことができるでしょう。

地域に根ざした起業家を育てる

サドグル・ジャッギー・ヴァースデーブ氏

また、サドグル氏は起業家育成と国の発展は車の両輪だと考えていました。

ビジネスリーダー達は顧客の人生の価値観を変えることによって成功しているのです。

だから「たくさんのお金を儲けて、それから社会貢献しよう」という順序ではなく、人々の役に立つこととビジネスを両立させる必要があります。

私は過去、政府にこのように掛け合ったことがあります。

軍事に使っている資金の1%を起業家に投資してほしい。そうすればトップレベルのビジネスブレインを排出でき、この貧しい社会でビジネスを成功させることができるのですから。」

「そのために20年間、金利なしまたは1%程度の低金利ローン貸付をお願いしたいのです。その代わり起業は、利益が見込めない・誰もビジネスをしたがらない地域でさせましょう。」

「お金の無駄になってしまう可能性があるので、そういった地域では誰も起業をしたがりません。見方を変えれば、その地域では低資金で起業ができることになります。地域に根差した起業家精神を育てることで、国全体の経済が回り始めるでしょう。

講師・菅野一勢は、社会全体を見て行動するマインドを「大我」と呼びますが、サドグル氏も社会貢献・経済活性化・起業家育成といった広い視野を持った人物であることが分かります。

ビジネスの不公平はなくせる

サドグル・ジャッギー・ヴァースデーブ氏

一社独占が起きている市場において、いかにビジネスの不公平感をなくせるか。この点について、サドグル氏は以下のように語ります。

今の社会にとって大切なことは、ビジネスリーダーをもっと育て、ビジネスに公平な競争を取り入れることです。

現在はあまりに巨大な一社が市場を独占していますから、そういった状況下で社会を育てることなどできません。

ビジネスの不公平をなくすためには、社会が起業家を育て、経済を活性化させ、顧客の人生を変え、そして互いが切磋琢磨して競争することなのです。

まとめ

アントレカレッジでは「幸せな経営者を増やす」ことを目標に掲げていますが、一人勝ちでは結果として社会が衰退し、幸せな経営者の絶対数は減っていきます。そのため「四方よし」の事業で経済が発展していくように考えていく必要があります

サドグル氏の言葉は起業家1人で叶えられるようなミクロの話ではありませんが、起業家として社会へどのように関わっていけば自分・社会がともに発展していけるのか、持続的な経営が可能になるのかのヒントになったでしょう。