当起業スクールでも「起業したいけどアイデアがない!」という悩みを多くの受講者から聞きます。特に起業したことがない人は、どんなアイデアが受けるのかが分からず、なかなか行動(起業)することができません。
しかし、きちんとポイントを押さえ、起業アイデア出しのためのフレームワークを活用すれば確実に実行可能な起業アイデアを思いつくことはできます。
本記事でポイントとフレームワークを押さえ、起業したいけどアイデアがない状態から抜け出しましょう!
そもそも起業にオリジナルのアイデアは不要
起業したいけどアイデアがないと悩んでいる方は「まだ誰もやってない事業を作らないといけない」「ファーストペンギンにならないと」といったメンタルブロックに囚われています。
しかし、そもそも起業にオリジナルのアイデアは不要です。その理由についてまず解説をさせていただきます。
前例のない事業はリスクが高い
そもそも、誰もやったことがない事業を始めるのはリスクが高いです。その市場に潜在顧客はいるのか、収益性があるのか等、不明なことが多いからです。
新しい市場を作っていけるだけの資本(認知度を上げるための広告など)があればいいですが、一人で起業する場合、そのような余裕はありません。
そのため、これから起業するという方はすでに存在する市場で起業することをおすすめします。
既存事業でもポジショニングを変えればOK
「誰かの真似をしても事業は成り立つの?」という不安の声もあるでしょう。しかし、既存事業でもポジショニングを変えればOKです。
5W1H(When・Where・Who・What・Why・How)のどれかを変えるだけでも十分に「新たな起業アイデア」が生まれることはあり得るのです。
例えば、オンライン英語学習市を考えてみましょう。ここで「What(何を)」を変えるとしたら「オンライン中国語学習」「オンラインロシア語学習」などの事業を考えることができます。
他にも「Who(誰が)」の部分で「ネイティブ講師が教える」「日本人のロシア在住者が教える」など、いくらでも特色は作れるのです。
これならビジネスモデルはすでに存在しますから、収益性は保証されており、リスクは低いです。起業アイデアがないと考える人は、興味のある分野から5W1Hを変えるイメージを持ちましょう。
起業したいけどアイデアがない人でも独立できる「5つの実践」
ここまで起業にオリジナルなアイデアは不要という話をしました。そこで本項では、アイデアがない状態で起業を成功させるためのヒントとポイントについて5点を解説します。
起業や経営に関する情報収集を行う
起業に向け、必要な情報を収集・分析することが大切です。起業セミナーや書籍だけでなく、ブログやサイトなどから信頼できる情報を確認することで起業へのヒントが得られます。
また、根拠が明確な情報を選択することがポイントです。
公的機関や専門家に相談する
起業したい業界が決まっているなら、信頼できる公的機関や専門家への相談もおすすめです。公的機関のアドバイスは中立的で偏見が少ないため、信頼性が高いです。
また信頼できる先輩経営者や起業家、また起業エージェントのコンサルタントなどに相談することで、それぞれの経験に基づいた親身なアドバイスが得られ、起業の参考となります。
起業コミュニティに参加する
起業セミナーやコミュニティに参加することで、臨場感あふれる起業経験を共有し、刺激が得られます。同じ立場で起業・経営に尽力する仲間から有益な情報が得られる環境は、今後起業を志す方にとっても重要です。
参加にあたり、信頼できるところを選定することが大切です。前提として、評判や実績が豊富な講師かどうかを確かめましょう。
世の中の不便に注目する
無理やりアイデアを絞りださなくても、多くの人が感じるであろう不満や不便に注目することで、市場に受け入れられる起業アイデアに繋がります。
むしろ求められない起業アイデアは画期的でも買い手がつきません。社会に求められることを事業化しましょう。
既存商品・サービスを改良する
起業する際、「誰も取り組んでいない新しいアイデアじゃないとダメ必要がある」などと思い込んでいないでしょうか?
ところが、成功した起業家の多くは、必ずしも斬新なアイデアで起業したわけではありません。それよりも、既存商品・サービスを改良することをおすすめします。
すでにある商品でも顧客が不満を抱えている点があるはずなので、その点をカバーするような商品・サービスで勝負しましょう。
起業したいけどアイデアがない人におすすめの起業アイデア3選
次に「起業したいけどアイデアがない」という方に向けて、リスクが少なく、方法論が確立されている起業アイデアを紹介します。
どうしても「起業アイデアがなくて起業できない」という方は、ぜひ下記のアイデアを参考にしてみてください!
物販事業
物販事業とは、仕入れた商品を他所で仕入れ額以上の値段で販売するビジネスモデルです。
物販事業は事業の拡大・縮小がしやすく、すぐに始めることができるメリットがあります。
例えば、近所のリサイクルショップで相場以下の商品を購入し、メルカリやラクマなどで販売することは簡単です。本格的に始めるなら、中国のアリババというサイトで工場直売の商品を大量購入し、国内Amazonで販売することもできます。
どちらも物販事業ですが、事業内容は大きく異なります。相場感覚を持ち、安定した仕入れ先を知ることができれば、収益の確実性が高いのが物販事業の魅力です。
コンサルティング
コンサルティングは、あなたの知識やノウハウを軸に生徒へアドバイスをすることです。資格や経験がある方はコンサルティング事業で起業ができます。
また、インターネットを介したネットコンサル事業が盛んになっているため、会場費や移動費をかける必要がありません。
オンライン教室
オンライン教室も、あなたの知識や資格などを生徒に教えるビジネスモデルです。
インターネット上で開講するため、会場などを用意する必要もなく、費用面でのリスクはほぼありません。また、オンライン上で行うため生徒数の上限がないこともメリットの1つです。
人気のオンライン教室になれば、一挙に数十人の生徒へ指導することもできるので、事業拡大の観点から言っても有利なビジネスモデルだと言えます。
起業したいけどアイデアがない人のためのフレームワーク10選
ここからは、企業でも使用される「起業アイデア作りのフレームワーク」を紹介します。フレームワークを使うことで論理的に起業アイデアを作ることができるので、主観でバイアスがかかることがなくなります。
KJ法
KJ法の利点は、シンプルなアイデアを量産するだけで新しい起業アイデアを生み出すことができるという点にあります。
KJ法で起業アイデアを作る流れを具体的に紹介します。
- ポストイットやメモ用紙に簡単な起業アイデアを書き出す
- 1で書き出した起業アイデアを似たもの同士で小グループに分けて見出しをつける
- 小グループ同士を見ながら親和性の高そうなものを組み合わせて中グループ化する
- 中グループ同士の関係性を文章化して新たな起業アイデアを生み出す
このフレームワークのポイントは、一瞬で思いつくような起業アイデアをこれまで思いつかなかったような起業アイデアへ昇華できる点です。
作業①で大量の起業アイデアを作れば作るほど作業④で価値のある起業アイデアが生まれるので、可能であれば複数人でKJ法を試してみてください。
ブレーンストーミング
ブレーンストーミングの利点は、複数人が協力して起業アイデアを出すことによって普段は生まれない起業アイデアが生まれる点にあります。
一般的には「とにかく自由にアイデアを出し合うだけ」のフレームワークと捉えられていますが、下記4つのルールを遵守することでより質の高いブレーンストーミングが可能となります。
- 他人が出した起業アイデアを否定しない
- 非現実的な起業アイデアほど評価し合う
- 起業アイデアは中身よりも出す量を重視する
- 他人が出した起業アイデアを応用してもOK
特におすすめなのは、他人の起業アイデアに便乗することです。個人が独立して起業アイデアを出し合うだけなら、複数人でブレーンストーミングをやる意味はありません。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストの利点は、既存の起業アイデアを9つの視点で見ることができるという点にあります。
下記がオズボーンのチェックリストによって与えられた視点です。
- 転用:既存の起業アイデアに他の使い道はないだろうか?
- 応用:既存の起業アイデアを他のアイデアに応用できないだろうか?
- 変更:既存の起業アイデアの見た目・材質・色などを変えることはできないだろうか?
- 拡大:既存の起業アイデアをさらに大きくするとどうなるだろうか?
- 縮小:既存の起業アイデアをさらに小さくするとどうなるだろうか?
- 代用:既存の起業アイデアを他のもので代用できないだろうか?
- 置換:既存の起業アイデアの構成を変えたらどうなるだろうか?
- 逆転:既存の起業アイデアの順番・上下・左右をひっくり返したらどうなるだろうか?
- 結合:既存の起業アイデアの構成を混ぜたり、組み合わせたらどうなるだろうか?
6W3H法
6W3H法の利点は、既存の起業アイデアを細分化して具象度が挙げられるという点にあります。
ちなみに「5W1H」は聞いたことがある方が多いかもしれませんが、6W3Hは5W1Hに3つの項目を追加したフレームワークです。
下記に6W3Hの項目を記載します。
6W3H法の項目
- When(いつ):どのタイミングで販売するのか
- Where(どこで):どこで販売するのか
- Who(誰が):誰が販売するのか
- What(何を):何を販売するのか
- Why(なぜ):なぜ販売するのか
- Whom(誰に):誰がターゲットなのか
- How(どのように):どのように販売するのか
- How many(どれくらい):どれくらいの量を販売するのか
- How much(いくらで):どれくらいの値段で販売するのか
マンダラート
マンダラートの利点は、1つの起業アイデアがあれば関連する起業アイデアが無限に生まれる点にあります。
マンダラートで起業アイデアを作る流れを具体的に紹介します。
- 3×3のマスを用意する
- 真ん中のマスにメインとなる起業アイデアを書き込む
- 真ん中のマスを中心として、周囲のマスに関連する起業アイデアを書き込む
- 周囲のマスに書き込んだ起業アイデアを1つ選ぶ
- 別の3×3のマスを用意して④で選んだ起業アイデアを真ん中に書き込む
- 以下、②〜⑤の繰り返し
上記の流れを繰り返すことで、1つの起業アイデアがいくらでも他の起業アイデアになっていきます。
すでに起業の方向性が決まっているという方は、マンダラートでメインの起業アイデアを他のものに変えてみましょう。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップの利点は、競合他社を1つのマップ上に配置することで自分の起業アイデアをどのような立ち位置で市場参入するか可視化できる点にあります。
ポジショニングマップによる起業アイデアの作り方は以下の流れです。
- ターゲットユーザーが重視する要素を2つに絞る
- 2つの要素をタテ軸とヨコ軸に設定してマトリクスを作る
- 競合他社の事業や商品・サービスのポジションをマトリクスにマッピングする
- ポジショニングマップを見て、競合他社がいないor少ない場所で起業アイデアを考える
上記の流れで狙っている市場の中からニッチなポジションを探すことができ、結果として市場のシェアを獲得しやすくなります。
アドバンテージマトリクス
アドバンテージマトリクスの利点は、市場の競争環境を2つの軸で分析して、どういった方向性で起業すべきかを可視化できる点にあります。
アドバンテージマトリクスによる起業アイデア作りは下記の流れで行います。
- タテ軸に「市場にある競争要因の数」を設定する
- ヨコ軸に「優位性(アドバンテージ)が構築できる可能性」を設定する
- ターゲット市場をマトリクス上に配置する
- 配置された位置によって、どういった起業アイデアを作るべきか分析する
下図はアドバンテージマトリクスによって分類される4事業の方向性です。
4つの事業についても簡単に説明しておきます。
- 分散型事業:大企業が存在せず、小規模企業が分散している事業。競合が多く優位性構築は困難
- 特化型事業:競合は多いが、特化した起業アイデアがあれば事業優位性を築くことが可能
- 手詰まり型事業:零細・中小企業が淘汰され、大企業も優位性の構築が困難
- 規模型事業:競合が少ないため、規模の利益を追求することで優位性の構築が可能
アドバンテージマトリクスを見ながら、ターゲットとなる市場がどこに配置されるか確認してみましょう。
そうすることにより、どのような起業アイデアにすべきか、もしくは他の市場を探すべきかなどを考えることができるでしょう。
SWOT分析
SWOT分析の利点は、自身(自社)の強みや弱点、競合他社の状況やビジネスチャンスなどを可視化できる点にあります。
SWOT分析は4つの英単語の頭文字
- Strength(強み):競合他社と比べて自分(自社)の優れている点
- Weakness(弱み):競合他社と比べて自分(自社)の劣っている点
- Opportunity(機会):起業するのがふさわしいと思われる理由
- Threat(脅威):起業する上で自分(自社)の脅威となりそうな存在
内部環境(自社)や外部環境(ターゲットとなる市場)を見ながら上記4項目を徹底的に洗い出しましょう。
AIDMA(アイドマ)
AIDMA(アイドマ)の利点は、顧客が商品・サービスを知ってから購入するまでに至るプロセスを可視化できる点にあります。
AIDMA 5つの英単語と順序
- Attention(注目):顧客が商品・サービスの存在を認知して注目する
- Interest(関心):顧客が商品・サービスに対して興味や関心を持つ
- Desire(欲求):顧客が商品・サービスを欲しくなる
- Memory(記憶):顧客が商品・サービスを記憶する
- Action(購入):顧客が商品・サービスを購入する
売れる商品・サービスというのは販売導線や購入される理由が明確に理解できます。
反対に、顧客が購入するまでの流れが明確にイメージできない商品やサービスというのは、売れる理由が弱いので起業成功には至らないでしょう。
AIDMAのフレームワークを用いることで顧客がその商品・サービスを購入するかどうかをロールプレイングすることができます。
その際にスムーズに認知から購入までのプロセスを組み立てられるかどうかを、起業アイデアを評価する1つの基準にすることがおすすめです。
ちなみにSNS時代のフレームワークはAISAS(アイサス)もおすすめです!
ペルソナ分析
ペルソナ分析の利点は、ターゲット顧客を極限まで具体化し、顧客のニーズにあったコンセプトの起業アイデアを作ることができる点にあります。
ターゲット顧客を設定する際、例えば「中高年・男性・IT企業勤め」くらいのレベルの具体性しかない状態だと、その顧客のニーズが分かりにくく、顧客に響く起業アイデアが作れない可能性があります。
ターゲット顧客の情報を設定する際には、少なくとも以下のような項目を明確にしておきましょう。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 価値観
- 生活
- 趣味
上記の項目を設定するだけでも、1人のペルソナ(ターゲット顧客)が出来上がります。
これだけでも、どんな起業アイデアがこのペルソナの心に響くのか、そして響かないのかが分かるはずです。
例えば「ペットの毛が付きにくい麻製の服」がいいかもしれません。広告を出すのであれば、有名どころのアパレル関連スマホアプリがいいでしょう。
社会的地位や服へのこだわりを考えると、値段設定は高級路線で攻めたほうが良さそうです。
このようにペルソナに合わせた起業アイデアを作ることで、一定の層に深く共感される商品やサービスを作ることができます。
【アンケート結果】100人に「あったらいいな」と思う商品を聞いてみました!
起業アイデアのヒントにしていただくため、100人に欲しい商品・サービスについてアンケートを取りました。また、併せて欲しい理由・払える予算も聞きましたので、起業アイデアのヒントになるはずです!
【100人に「こんな商品・サービスあったらいいなと思う商品は?」アンケート】を別記事でまとめていますので、ぜひご覧ください!
まとめ
起業アイデアに関する問題点やヒント、ポイントついて解説しました。
自己本位に「いい起業アイデアはないか」と悩むよりも、起業を通じた実際の事業運営の中で、様々な経験やヒントを通じて優れた起業アイデアを発見できることが多いでしょう。
この記事を読んで、社会や顧客の動向、改善ニーズに関するニーズを解決するためのアンテナを常に張り巡らせ、日々の事業活動の中で起業アイデアを見つけ出していただくことを期待しています。