【コダック】大企業をも滅ぼすジレンマとは?(中村司)

「コダック」という写真用品メーカーをご存知だと思います。

誰でも名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか?

この有名な会社が倒産する過程に僕らが学ぶべき教訓があります。これを知らないと、遅かれ早かれ、あなたの事業は終わりを迎えてしまいます。

コダックは、「いつでもどこでも写真撮影ができる」という乾板技術の可能性にいち早く気づき起業したベンチャー企業でした。

この技術により、お手軽に写真を撮影できるようになったことによってカメラはプロだけでなく、一般家庭にも浸透していきます。

20世紀後半において、アメリカ国内だけで言えばフィルム市場の9割以上を、そしてカメラ市場の8割以上をコダックが占めていました。

事業は絶好調で、一時は売上が100億ドルにも達したコダックでしたが、2012年に倒産してしまったのです。。

その理由は僕らも学ぶべき教訓、「成功へのしがみつき」でした。

そもそもコダックが成功した背景には、「レーザーブレード戦略」がありました。

これは、髭剃り本体を安く売って、交換用の替刃で利益をだすという戦略です。

コダックの場合は、カメラ本体を安く売って交換用のフィルムで収益をあげていたのです。

しかし、ご存知のように時代はデジタル化へ進みました。フィルムカメラは売れなくなり、一般消費者はみんなデジタルカメラを買うようになったのです。

もちろん、コダックもデジタルカメラを作りました。

ちゃんと事業の「転換」ができたのですが、問題は同時に売り出した「フォトCD」にありました。

これはデジタルカメラの写真データを保存する媒体です。
コダックとしては、今まで調子の良かったビジネスモデル、つまり、「レーザーブレード戦略」を採用したのです。

デジタルカメラ本体を安く販売し、フォトCDやそれに伴う現像サービスなどで収益を見込んでいました。

しかし、デジタルデータのプレイヤーは、コダック独自の乾板技術と比べると参入障壁が低く、競合他社が同機能でより安価な商品をどんどん開発、販売し始めたのです。

結果として、期待していた収益を得ることができず倒産することになってしまったのです。

この倒産劇から、マーケットが劇的に変化する決定的な瞬間を意味する「コダック・モーメント」という言葉も生まれたほどです。

成功体験を捨てて変化せよ

従来の分野で大きすぎる成功を得てしまったことにより、新時代への転換ができなくなってしまうジレンマこそ、最も恐ろしいと言えます。

特に、駆け出しの起業家は、最初の成功事例やビジネスモデルに固執しがちです。と、こんなことを言っている僕も実は、、駆け出しの頃は、成功した「営業」の成功体験を捨てることができませんでした。

当時、考えつくビジネスモデルは全て営業ベースのものばかり。

しかし、それではうまくいかずに、営業会社のスタイルを辞めて、インターネットに業態変更したことで新しい成功をつかむことができました。

今、こういう時代だからこそ、変化することを恐れずに、どんどん新しいことに挑戦するべきです。

過去に縛られずに、今、必要とされているものは何か?今、自分ができることは何か?

ゼロベースで考えることで、未来へとつながる新しい事業基盤を作ることができるはずです。

基本的なことではありますが、おろそかにすると、大企業でさえ潰れてしまうのです

僕らにとっても非常に重要な教訓ですので、ぜひ忘れずに覚えておいてくださいね。

そして、どんどん自らを高め、変化し、新しい時代を作っていきましょう!

それでは今日はこの辺で。最後までお読みいただきありがとうございました。

中村司