起業セミナーは怪しいという風潮について|有益な講座を見極める方法

「起業セミナーは怪しい。」起業セミナーを主催する当スクールとしては残念ですが、世の中の多くはこのように感じているようです。一方、起業セミナーとは名ばかりの詐欺被害も多く、怪しいと思われるには仕方がないのが現状です。

しかし、当スクールは幸せな経営者を1,000人輩出することをビジョンとして掲げており、この風潮をなんとか変えていきたいと考えています。

そこで今回の記事では、起業セミナーが怪しいと思われる理由と詐欺セミナーを避けるポイントをご紹介。起業セミナーに興味はあれど「怪しい」と感じてなかなか参加できない方に向けて、有益な起業セミナーを選ぶ方法を解説していきます。

起業セミナーが怪しいと言われる理由はマルチ商法

起業セミナーが怪しいと言われる理由の1つは、講座内でマルチ商法の勧誘被害が増加していることが背景にあります。特に2018年以降はファンド型投資商品や副業などのサービスのマルチ商法が増加(注1)しており、消費者庁も問題として取り上げています。

マルチ商法に関する消費生活相談件数
マルチ商法に関する消費生活相談件数

2019年には消費者庁の相談窓口に11,645件ものマルチ商法被害の相談が寄せられる等、深刻な状態になっています。

注1:第1部 消費者問題の動向と消費者意識・行動

起業セミナー詐欺は不況とも連動

投資・副業・起業など、お金にまつわるセミナーには詐欺がつきもの。

それは、不況の中で経済的にも不安な人の情緒を刺激し「挑戦すればこの不安から抜け出せるかもしれない」という希望を見させることで、詐欺業者が利益を得ることが比較的に簡単だからでしょう。

「1日〇分の作業で月に数百万円が稼げる」「〇万円の投資で〇億円になる」といった非現実的なキャッチコピーとともにノウハウを販売する詐欺業者が、2013年には841件だったところ、2018年にはなんと8,787件にまで増えています。(注2)

マルチ商法や詐欺まがいのノウハウによる被害は年々増えてきており、その販売経路の1つである起業セミナーは「怪しい」というレッテルを貼られても仕方がないというのが現状です。

注2:第2部 第1章 第4節 (4)高収入をうたう副業や投資に関する相談

起業セミナーの詐欺モデル

詐欺セミナーの手口

ここまで起業セミナーと詐欺被害の関係について解説をしてきました。しかし、どんな起業セミナーが詐欺で、どんなセミナーが有益なのかは見極めが難しくもあります。

もしあなたが詐欺業者による講座へ参加してしまった時、どのようなモデルで騙されていくのか。この点について解説をしていきます。

集客時:不満・不安を煽り、対象者を絞る

集客段階では、対象となる受講者を徹底的に絞ります。最終的に販売にまで繋げたいわけですから、お金を払ってくれる人の心にだけ響けばいいわけです。このため不満・不安を煽り、その煽り言葉に反応する人だけをセミナーに呼び込みます。

  • 「会社にこき使われる人生はやめましょう」
  • 「まだ満員電車に詰め込まれて通勤しているんですか?」
  • 「自由な時間と大金を簡単に手にすることができます」

セミナー時:行動を煽る

セミナー後は行動(=契約)を煽ります。

  • 「今すぐ行動しないと絶対に人生は変わりません」
  • 「このセミナーで行動を起こさないことは大きな機会損失です」

行動を起こさないと人生が変わらないのは正論です。しかし、その行動が正しいかどうかを見極めなければなりません。行動をとにかく煽るのは、冷静に考える時間を設けさせないためです。

販売時:大幅な割引で買い煽り

「通常100,000円、この場で契約していただければ50%割引で50,000円」など二重価格表示はどの市場でも見られます。特にノウハウ販売のようなサービスは原価計算が複雑なので、大幅な割引で買い煽りをする詐欺業者も少なくありません。

「不安を抜け出したい→行動しないといけない→今なら割引もある」という心理変化を利用し、契約に至るパターンが詐欺系セミナーでも定石となっています。

詐欺セミナーで高額な契約をしてしまった場合

詐欺的な起業セミナーの手口を知ったとしても、会場の熱にほだされたり、雰囲気に流されて契約をしてしまったというケースは後を経ちません。このような場合に消費者の身を守る法律があります。この点について解説をします。

特定商取引法

特定商取引法では、以下の場合にクーリング・オフ(一定期間において、契約の申込・締結を無条件で撤回・解除できる制度)が可能であると定められています。

販売方法撤回・解除できる期間備考
訪問販売8日間キャッチセールスやアポイントメントセールスなど
電話勧誘販売8日間
連鎖販売取引20日間マルチ商法など
特定継続的役務提供8日間エステ・美容医療や語学教室など
業務提供誘引販売取引20日間内職商法・モニター商法など
訪問購入8日間業者が自宅を訪問し商品の買取を行うもの

クーリング・オフの手続きは、下記のような書面を販売会社(クレジット契約の場合はクレジット会社にも通知)へ通知します。また、送付においては「特定記録郵便」または「簡易書留」など記録に残る方法で送りましょう。

クーリング・オフの通知はがきの例

消費者契約法

消費者契約法では、以下の場合に契約を取り消すことができると規定されています。

手口詳細事例
不実告知事実と異なることを言われる「このままでは株で不利益が出る」と言われ、投資コンサルを契約
不利益事実の不告知消費者の不利益となる事実を故意に告げない法律改定で規制される事業モデルをノウハウとして故意に販売
断定的判断の提供不確実な事項を確実として伝える金融商品を販売する際に「確実に値上がりします」と断定して販売
適量契約通常の分量を著しく超えることを知りつつ、故意に契約勧誘一人暮らしで日常的にも頻繁に使用しない物品を、過剰に販売
不退去お願いしても帰ってくれない訪問販売などで業者が来た際に、帰って欲しいと伝えても購入・契約するまで帰らない
退去妨害お願いしても帰らせてくれないセミナーなどで帰りたいと伝えても、契約するまで帰らせてくれない

典拠:早わかり!消費者契約法 – 消費者庁

有益な起業セミナー“だけ”を見極めるポイント

有益な起業セミナーを見極める方法

起業セミナーには詐欺業者が少なくないこと、そして消費者として身を守る術(法律)を知っておくことは不可欠です。それだけでも起業セミナーに参加する際のリスクを削減することができるからです。

しかし、当スクールのように真剣にセミナーを開講している立場からすると「起業セミナーは怪しい…だから参加しない」という選択が為される風潮は遺憾です。起業しようという気持ちが削がれることで、挑戦の機会を失う人も少なくないからです。

そこで本記事の最後に、安全に有益な起業セミナーだけを見極めるポイントを解説します。最低限、この本項で紹介した点を抑えれば詐欺被害に遭うことはないはずです。

起業セミナーは『超現実主義』で選ぶ

最も重要なのは、「超現実主義」でセミナーを選定することです。いくら掲げるビジョンが素敵でもいくらワクワクするキャッチコピーでも、中身がなければなんの意味もありません。

独立行政法人国民生活センターに寄せられる相談の多くは以下のようなものです。
「すぐに元が取れると言われ高額な契約金を支払ったのに、収入にならない」
「契約した事業者がサポートをするので大丈夫と言われたが、サポートがなく商品も売れない」
「契約時には説明がなかった追加費用を請求された」

典拠:20 代に増えている!アフィリエイトやドロップシッピング内職の相談 – 独立行政法人国民生活センター

儲かると言われて裏どりをせずに飛びついてしまうと、このような顛末を送りかねません。まずは落ち着いて下記の2点を冷静な見地に立って確認しましょう。

講師の実績

優良・詐欺問わず、起業セミナーの多くは講師が起業ノウハウを伝授する形式です。つまり、講師に実績とノウハウがあることが前提となります。特に起業スクールでは「事業」を教えるわけですから、事業で収益を得ているのかを中心に確認してください。

ただし、講師自身が起業セミナー“のみ”で収益を得ている場合があります。ご自身が起業したいと考える事業で結果を出しているかどうかも重要な観点です。

運営会社の存在

国民生活センターに寄せられる相談の中には「事業者と連絡が取れなくなった」という声も少なくないようです。(注3)このように「お金をとって逃げる」ということがないように、運営会社の存在と運営歴を確認すべきです。

事業者として販売責任を契約通りに果たしてくれるかどうかを見た上で、契約の可否を判断しましょう。

注3:情報商材や暗号資産(仮想通貨)のトラブル

受講者の感想&実績

起業セミナーに参加した受講者の感想や、参加後にどのような実績を出せているか確認しましょう。起業に有益な情報を提供している講座であれば、当然ながら受講者は実績を出せているはずです。

また受講者の感想や実績が更新されているかどうかもポイントです。数年前のものしかないのであれば、セミナーが開講されていないか、感想自体が捏造であることを怪しむべきです。そもそも数年前の起業セミナーは内容自体も陳腐化している可能性が高いでしょう。

公的機関が開催するセミナーを選ぶ

民間の起業セミナーが信頼できないという方は、公的機関による起業・経営セミナーに参加することも手です。内容は玉石混交ですが、講師陣は機関に精査されているため詐欺被害に遭うことはあり得ません。

公的機関のセミナー情報は下記のようなページから収集が可能です。

また、ドリームゲートはプロジェクトニッポンという法人メディアですが、経済産業省の後援を受けているためクリーンな印象です。

セミナーで詐欺に遭わない最も確実で簡単な方法

起業セミナーで詐欺被害に遭わないための最も確実な方法は、明確な目的意識を持つことです。どんな情報を得て、セミナー後にどんな未来を実現したいのかハッキリと分かっていれば、詐欺に遭って契約してしまうことはありません。

それに詐欺セミナーでないとしても、目的意識がなければ有益な情報を得ることはできません。

ぼんやりと「お金持ちになりたい」「将来が不安だ」という気持ちだけで参加してしまうと、上手い話に乗せられてしまいます。

起業セミナーに参加する前にきちんと目標を立てておくようにしましょう。