カフェ経営を成功させるには「たった4つのポイントを抑えるだけでいい」ということをご存知でしょうか?
そのポイントとは、以下の通りです。
- 将来設計を明確にする
- 資金計画を綿密に練る
- 体調管理をする
- マーケティングを疎かにしない
ただし、カフェ経営は競合他社が多く、戦略がなければ経営が失敗してしまいます。
しかし失敗の原因や成功戦略を正しく押えることで差別化を図り、成功することが可能です。本記事ではカフェ経営のコツや必要資金、開業手続きなどについてお伝えします。
起業したい人向けの起業手順も参照ください。
カフェ経営の魅力
カフェ経営には他にはない魅力が数多くあります。ここではカフェ経営の魅力を紹介します。
好きなことを仕事にできる
カフェを経営したい理由には「好きだから」「憧れだから」などが多いです。その憧れを、実際に仕事にできる点がカフェ経営の魅力です。自分の生活の中心を、自分の好きなことにすることができるのです。
こだわりを演出できる
店員はカフェのコンセプトを決定できません。しかし、カフェの経営者になれば、コンセプトなどは全て自由です。自分のこだわりを好きなだけ表現したお店にすることができる点も、カフェを経営する魅力です。
人間関係が広がる
カフェを経営していると、仕入れ先やお客様など様々な出会いがあります。その中には、自分の価値観を変える出会いや今後の人間関係に影響する出会いがある可能性もあるのです。
カフェ経営の開業資金・人件費は?
カフェ経営にあたり、必要となる資金などについてまとめました。
カフェ経営の開業資金は?
種類 | 費用 |
---|---|
物件取得費 | 150万円~250万円程度 |
内装 | 200~500万円程度 |
設備 | 50~150万円程度 |
備品等 | 30~50万円程度 |
広告宣伝費 | 0~50万円程度 |
当面の運転資金 | 100~200万円程度 |
合計 | 530~1,150万円程度 |
カフェ経営に従業員は必要?
カフェを経営する場合、従業員の雇用をするかどうか迷うでしょう。従業員を雇用するとその分、人件費もかかります。
一般的に、10席程度のカフェを経営する場合は一人でもできると言われています。20席となると夫婦2人の経営で可能です。つまり、10席あたり1人の従業員が必要だと考えると良いですね。
また、メニューの種類によっても必要な従業員数は異なります。ドリンクがメインなら最低人数でカフェ経営ができますが、フードがメインの場合は調理人を雇う必要があるかもしれません。
カフェ経営に必要な免許・資格・手続きは?
カフェ経営では、様々な免許や資格、手続きが必要です。ここではカフェと喫茶店の違いも含め、解説をしていきます。
カフェと喫茶店で要件が異なる
カフェと喫茶店には法律上の営業区分が異なることをご存知でしょうか?
・喫茶店:喫茶店営業
また飲食店営業と喫茶店営業では、できることが異なります。食品衛生施行令第35条(営業の指定)には以下のように規定されています。
飲食店営業
- 調理全般可能
- 種類の提供可能
喫茶店営業
- 調理全般不可
- 種類の提供不可
喫茶店は衛生上の基準に達すれば営業可能となりますが、飲食店営業の場合は一定の設備要件(給湯・洗浄・冷蔵・客席など)を満たす必要があります。
喫茶店営業・飲食店営業のどちらにすべきかは、ご自身のメニューを見て考えましょう。
カフェ経営に必要な免許・資格
カフェを経営するにあたり、免許や資格が必要です。それらについて解説します。
食品衛生責任者
カフェを経営する上で必須な資格に「食品衛生責任者」があります。食品の取り扱いを行う事業においては、店舗に最低1人の食品衛生責任者を置く必要があります。
しかし、こちらは1日の講習のみで取得可能なため、開業前に焦る必要はありません。
防火管理者
収容人数が30人を超えるカフェとなる場合は「防火管理者」を取得する必要があります。この資格も1日から2日の講習で取得することができます。
しかし、1人で経営を行う場合は収容人数が30人を超えることは少ないです。事業の拡大をする際には取得する必要があると覚えておきましょう。
飲食店営業許可申請
飲食店を開業する際は、食品店営業許可申請を保健所に行う必要があります。店舗設備に係るルールが細かく定まっているため、余裕を持って確認、申請を行いましょう。この申請の許可がされたら、開業が可能となります。
菓子製造業許可申請
カフェのメニューとして、パンやお菓子を提供する場合も多いでしょう。そのパンやお菓子をテイクアウトできるようにする場合、菓子製造業許可申請を行う必要があります。営業許可申請と同様に、保健所への申請となります。
深夜における酒類提供飲食営業開始届出書の提出
中には「昼間はカフェとして営業して、夜はバーとして経営したい」という方もいるでしょう。深夜0時以降にアルコールを提供する場合は「深夜における種類提供飲食営業開始届出書」の提出が必要になります。こちらの提出先は、保健所ではなく警察署のため注意しましょう。
カフェ経営に必要な手続き一覧表
手続きに必要な書類 | 要件 | 期日 | 届け先 |
---|---|---|---|
飲食店営業許可 | 全店舗必須 | 店舗完成の10日前 | 保健所 |
開業届 | 個人事業主として開業する場合 | 開業後1ヶ月以内 | 税務署 |
火を使用する設備等の設置(変更)届出書 | 火を使用する設備を設置した場合 | 開業の7日前 | 消防署 |
防火・防災管理者選任(解任)届出書 | 収 容人員が 30 人以上の場合 | 店舗開業日まで | 消防署 |
防火対象物使用開始届出書 | 対象が多岐に渡るため、消防組合消防本部の資料を要参照 | 開業の7日前 | 消防署 |
深夜における酒類提供飲食営業開始届出書 | 深夜0時以降にアルコールを提供する場合 | 開業の10日前 | 警察署 |
風俗営業許可申請書 | 営業所内の照度を10ルクス以下として営む場合 客の「接待」をして客に「遊興又は飲食」させる場合 | 開業の2ヶ月前 | 警察署 |
労働関係設立届など、労災保険加入に必要な書類 | 従業員を雇用する場合 | 従業員雇用翌日から10日以内 | 労働基準監督署 |
雇用保険適用事業所設置届など、雇用保険の加入手続きに必要な書類 | 従業員を雇用する場合 | 従業員雇用翌日から10日以内 | 労働基準監督署 |
カフェ経営に必要なスキルとは?
カフェ経営には飲食店の経験・調理経験などが必要だと思われがちですが、実は未経験でも経営することができます。上記の通り、必要な免許・資格・手続きもそれほど多くありません。条件を満たせば、誰でもカフェ経営を始められるのです。
当然、調理師免許・バリスタ資格などがあればカフェ経営に付加価値をもたらすことはできます。しかし、これらも必須ではありません。
開業資金や資格・免許のハードルが低いことも、カフェ経営の魅力の1つなのです。
カフェ経営で常連客を作るコツ
カフェ経営において重要なのは、リピーターの存在です。常連客がいてこそ、経営が安定するものです。ここではリピーターの増やし方について解説をします。
カフェ店内外の雰囲気作り
カフェ経営においてコンセプトは重要です。カフェのコンセプトにあった内装・外装が顧客の好みだったときに「また来たい」と思ってもらえるのです。
外装をこだわれば、通りがかりに思わず入ってみたいと思ってもらうことができます。オープンテラスなど入り口を開放的にすることで、入店しやすい雰囲気が作れます。
内装はリラックスできる雰囲気作りが重要です。長時間座っても疲れないソファ、癒しの効果のある色調、眩しすぎない照明など、一つ一つこだわりを持ちましょう。
また、食器やインテリア、店内音楽などにもこだわりましょう。コンセプトに合わせることで、リピーター獲得につながります。
電源・Wi-Fiなどの設備を整える
近年、カフェで仕事をするノマドワーカーが増えています。こういった顧客にカフェを気に入ってもらえれば、常連になってもらえる可能性が高いです。
また、スマホやタブレットを使用している人は多く、コンセントやWi-Fi設備は必須とも言えます。座席にコンセントを用意しておけば、スマホの充電がてら入店をしてくれるからです。
Wi-Fiもあれば、スマホのデータ容量を気にせず長居してくれるので重要。実はWi-Fiを契約するのは月額500円程度です。費用面でも高くないので、リピーター獲得のために導入しましょう。
カフェ経営で陥りがちな失敗例
憧れを持ってカフェ経営を始めたものの、思わぬ落とし穴にハマる場合もあります。ここでは、カフェ経営で陥りがちな失敗例を3つ紹介します。少しでもリスクを避けられるように確認してください。
最初から大規模な投資を行う
最初に大規模な投資を行ったが、すぐに廃業して借金だけが残ったという失敗例もあります。カフェ業界は決して生存率が高くないため、リスクに備えた経営を行いましょう。最初は小さい規模でスタートをして、軌道に乗ったら徐々に規模を大きくするなどです。
収支計画や採算管理ができていない
収支計画や採算管理が曖昧のまま経営を始めたことによって、資金がショートした例は非常に多いです。カフェは客単価がそれほど高くない一方で、回転率が悪いという特徴があります。そのため、綿密な資金計画は必須です。
原価や販売費、固定費を算出し、いくらの売上を上げれば存続できるかを事細かく計算しましょう。
効果的な集客施策ができていない
効果的な集客施策は、経営中は開業前からしっかりと力を入れるようにしましょう。「良いお店を作れば勝手に人は集まる」という考えは大変危険です。
現在、SNS等を活用することによって、費用をかけずにマーケティングが可能な手法もあるため、是非活用してください。他にもマーケティング手法を見てみましょう。
ターゲット設定を明確に行う
経営を行う際は、そのお店のターゲットは誰なのかを明確にしましょう。ターゲットが曖昧だと商品も曖昧になります。その結果、ニーズにマッチした商品が提供できません。カフェ業界は競合他社が多いです。そのため、あなたのカフェでしか得られない商品を提供など、差別化を行うことが大切です。
事前のリサーチを入念に行う
開業前には必ず入念なリサーチを行いましょう。店舗を決める際は店舗付近の地域性や同業者の傾向などを調べると良いでしょう。
地域性が分かれば、客層を想像することができます。その結果、自身のお店のメニューと客層がマッチしているかの確認ができます。また、同業者の傾向を掴むことによって、その地域で存続するための傾向や、自身のコンセプトが差別化できているかの判断材料となります。
もし、リサーチせずに決定してしまった場合、後戻りできない場合もあります。そのため、事前のリサーチと分析は必ず行いましょう。
カフェ経営を始める方法3選
ここまでカフェ経営についての情報を紹介してきました。しかし、いざ開業となると他にも考えるべきことがあります。
カフェ経営にはゼロから開業する方法やフランチャイズへ加入する方法などがあります。自分がどの開業方法に適しているのか確認してみましょう。
ゼロから自力で開業する
まず、1から自力で開業する手段があります。プロのアドバイス等が無いため、開業から経営まで、自身で学び、自身で行動する必要があります。
・設備
・カフェのコンセプト
・従業員の数
・メニューの値段
・家具や外装・内装の仕入れ
・食器
しかし、自分のこだわりを強く出したお店を作りやすい点が魅力です。
店員として働きノウハウ・資金を貯めて開業
すぐに独立せずに、まずは店員としてカフェの仕事に就くという手段もあります。いきなり開業は不安がある人や、開業資金が足りない人におすすめです。後々の独立のために、カフェの経営ノウハウを学びながら、資金を集めることができるというメリットがあります。
フランチャイズで開業する
フランチャイズとは、大手のチェーン店(ドトールコーヒーやコメダ珈琲など)の看板を借りて営業をする方式です。
有名店に加盟するため、大手の経営ノウハウを知ることができます。また、知名度があるため、集客もしやすいという特徴もあります。一方で、自身の拘りを出すことは難しく、一人だけで経営することも難しいというデメリットもあります。
カフェ経営者のリアルな年収
カフェ経営を行うか悩んでいる人の中には、年収が気になる方もいるでしょう。ここでは、カフェ経営者の収入事情を解説します。
カフェ経営者の収入内訳
カフェの経営者の所得は、主に売上高と総費用の2つの概念から算出されます。ここではカフェの経営者における所得の一例を紹介するため参考にしてください。
項目 | 売上高・総費用 |
---|---|
平均客単価 | 1,000円 |
平均来店者数 | 25人/月 |
稼働日数 | 30日/月 |
売上高 | 750,000円/月 |
原価率 | 30% |
売上原価 | 225,000円/月 |
粗利(売上高-売上原価) | 525,000円/月 |
家賃 | 120,000円/月 |
雑費 | 30,000円/月 |
水道光熱費 | 50,000円/月 |
所得 | 325,000円/月 |
この所得から社会保険料や各種税金を差し引くと、いわゆる「手取り」となります。
これは一例にしか過ぎませんが、自身の事業計画等をこのように分析することによって改善点などが見えてきます。開業の前に、見込みでどのくらいの利益が出るかは必ず確認しましょう。
カフェ経営まとめ
現代におけるカフェ業の生存率は決して高くありません。なんとなくで経営してたら、廃業の危機へ追い込まれてしまいます。
そのため、成功するためのポイントや失敗例をしっかりと理解した上で、経営をすることが重要です。
当記事では、カフェの経営で成功するポイントや失敗例、必要資金及び開業の手順などを解説しました。
カフェの経営は、簡単ではない一方で、多くの魅力があります。当記事を参考に、独立をより現実的にしてみてはいかがでしょうか。