コロナ禍に経営者が考えるべき「顧客との永続的な関係作り」3つの手法を解説

コロナウイルスの影響により、経営者は顧客との永続的な関係性作りがより重要になってきました。

コロナ禍への対策ができていない会社は社会的信用を失い、そこからの損失は計り知れません。

その一方でコロナ禍の対策を行い、顧客を中心に据えた事業展開をする企業は社会的な支持を得ることに成功しています。

本記事では、経営者や起業を志す方が考えるべき「顧客との永続的な関係作り」について、3つの方法を紹介しています。

コロナが与えた世界経済への影響

コロナ 顧客 経営者 関係作り

間違いなく、コロナウイルスが世界経済を揺るがしています。

国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、コロナウイルスが2020年から2021年にかけて世界の国内総生産(GDP)に与える累積損失は約9兆ドルに上ると予測されています。これは、ドイツと日本の経済規模の合計を上回る金額です。

この危機は世界市場を混乱させただけでなく、人々の生活、ニーズ、優先順位、消費行動をがらりと変えてしまいました。

McCann Worldgroup Truth Centralが世界14か国を対象に行った調査では、日本人の54%がコロナ禍で経済的な不安を抱えていることが分かりました。

また、ロンドンを本拠地とする世界最大のプロフェッショナルサービスファーム、プライスウオーターハウスクーパース社では、今後1年間で家計消費が379億ドル減少すると予測されています。

コロナ禍の時代に経営者は“顧客中心主義”にならざるを得ない

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経済が厳しい状況の中、消費者はどこでどのようにお金を使うかについてより慎重になり、それが企業にとっては新たな課題となっています。

“顧客中心主義”は1960年代から使われている言葉ですが、今日のビジネス環境において、これほど重要な意味を持つ言葉はありません。

現在のような厳しい経済環境の中で、お客様は高品質や低価格の商品を求めるだけでなく、経営者や企業に信用と信頼性を求めています。

顧客中心のビジネスの最終目標は、顧客ロイヤリティです。つまり、顧客からの信頼や愛着を得ることです。

経済的に困難な環境下でもお客様に頼りにして求めてもらうために、どのように確固とした顧客基盤を作るかは、混乱を乗り切っていくための鍵となります。

しかし、真の顧客中心主義というものは、ただ単に「設定したら後はお任せ」というような簡単なソリューションではありません。

顧客ロイヤリティを維持していくため、変化する顧客のニーズに応じてサービスを適応させ、場合によっては顧客が求めるものを先に知ることが必要です。

そんな顧客中心主義が、オペレーション(運用)とエクスペリエンス(体験)を結びつけ、顧客が得られる素晴らしい経験を新たに創造することに繋がるのです。

経営者がコロナ禍で考えるべき3つの「顧客との永続的な関係作り」

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コロナ禍の今、経営者はどのように変化し続ける顧客のニーズを予測したり、対応していけばよいのでしょうか?

それにはまず、自社サービスがどのように運営されているかを見直し、既存の顧客を維持するために何が重要かを見極めていくことから始まります。

ここでは、コロナウイルスによる経済への影響を考慮して、経営者がそれに順応し、顧客との関係をより良いものに変えていくための3つの方法をご紹介します。

成長目標は後回しにする

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顧客数の増加が優先事項になっている場合、経営者はそれが持続可能な道筋なのかどうかを判断する必要があります。

顧客獲得に必要な長期的コストが幾らになるのか計算してみてください。これは、経営的な観点と財務的な観点から考える必要があります。

コロナウイルスの影響を受けずに済んだ企業はほとんどありません。コロナ禍を乗り切るために、優先順位・リソース・目標の変更を余儀なくされた経営者も多いでしょう。

現状受けている影響と将来受けるであろう影響を比較する

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あなたの会社が、コロナ禍によって「今受けている経済的な影響」と「将来起こる経済的な影響」が、会社にどのような作用を与えるかについて比較・検討していないのであれば、今すぐ検討を開始する必要があります。

この影響を正しく評価するためには、2つのことを見定めなければなりません。

  1. 可能な限り、会社が「平時」に近い状態を維持するために自社でコントロールできる事は何か
  2. 少なくともどういったリソースがあれば現状を維持できるか

経営者は上記2点を見定めることによって、今すべきことと将来すべきことを切り分けて考えることができます。

経営者として将来に目を向けることは非常に重要です。ただし未来が現在の積み重ねである以上、いかにコロナ禍に会社を現状維持できるかを第一に考えなければなりません。

新規顧客獲得は既存顧客維持と比べて5倍のコストがかかる

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生き残り戦略で最も大切になるのは、既存の顧客基盤を維持することです。

例えば、既存の顧客をないがしろにして新たな顧客獲得に注力するとしましょう。

そうすると、新たな顧客が次々と入ってくる一方で、既に獲得していた多くの顧客が別のサービスに移ってしまうという危険性があります。

そうなると、企業は新規顧客を獲得するために値引きをしたり、手広く事業を展開しなければならなかったりします。

これでは負のスパイラルに陥り、最終的には収益源が失われてしまいます。

フォレスター社の調査によると、新規顧客の獲得には既存顧客の5倍のコストがかかると言われています。

これは、特にコロナ禍のように厳しい時代においては、新規顧客を開拓するよりも、既存顧客の信頼を高めていく方が経営者として正しい判断であることを示しています。

成長の機会を逃すことを恐れるのではなく、この危機をビジネスの拡張性をさらに高めていくために必要となる、基本的なプロセスやマーケットシェアを固めるチャンスだと考えてください。

事業継続のためにいくら投資をしても、その先に顧客がいなければ全く意味がないことを常に念頭に置いてください。

オペレーショナル・エクセレンスを重視しつつ、顧客中心主義を貫く

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歴史的に見て、企業が継続的に改善していくための方法として、コストの標準化、安定したオペレーション、コンプライアンスの遵守などが中心に行われてきました。

これらはビジネスを運営する上で重要な要素です。

この3項目を常に意識することで、経営者が大局的な視点を失い、自社の製品がお客様にとってもはや意味のないものになっていることに気付くことができるのです。

オペレーショナル・エクセレンス、つまり業務を改善し続ける事は非常に重要です。

しかし、プロセスを前年より10%改善しても、顧客視点で考えた際に的外れな結果になってしまっては意味がありません。

最近では、エンドツーエンド、つまりサプライチェーンの上流から下流までのプロセス全体でカスタマー・エクスペリエンスを最適化するという、これまでとは異なる考え方を企業が取り入れ始めています。

真の顧客中心主義の組織では、カスタマー・エクスペリエンスがいかに改善できるかを念頭に入れた意思決定が常に行われているものです。

価値観の似た者同士で交流し、共感し合うことにより、特定の意見に偏ってしまう組織は多いです。しかし、このような状況では継続的な改善は難しいでしょう。

業務プロセスを改善し続けることと、顧客価値をしっかりと結び付け、その考え方が事業を行うチームの中にしっかりと組み込まれている必要があります。

データを駆使して精度を高める

アフターコロナの時代は、デジタルマーケティングやソーシャルメディアがより重要となります。

これらの技術を正しく使えば、顧客の行動をより具体的に把握することが可能です。

既存の顧客層にアンケートを取るだけで、実用的な洞察や発見を得ることができます。データが多ければ多いほど、より正確な洞察や発見を得ることができますし、顧客データを活用することで事業を洗練させていくこともできます。

顧客のデジタルデータによって得られた考察は、経営者にとって消費者のニーズや、期待、懸念をより理解する上での金脈となるでしょう。

顧客視点の全体像を把握するためには、様々なデジタルマーケティングやSNSなどを利用して組み合わせ、顧客がどのようにして商品やサービスを知り、実際に購入に至り、購入後はどうだったのかという一連の流れをまとめた、いわゆるカスターマージャーニーマップを作成することが有効です。

経営者 コロナ カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、直感的に顧客の動きを理解できる有用なチャートです。このチャートによって顧客行動の全てを可視化することができます。

これにより、顧客のペルソナを中心としたプロセス改善の領域がますます明確になり、ビジネスモデルやオペレーションの変革を促進することが可能です。

顧客の動向を常に把握しておくことは、進化する行動パターンの最前線に立つことを意味します。

洞察や発見を得られるデータにいつでもアクセスできることで、急速に変化していく環境下でも、プロセスを適応させ、顧客満足度を維持することができ、ロイヤリティと顧客の定着率を高めることができるのです。

まとめ

今回は、コロナ禍に経営者が顧客と強い関係性を築き上げるための手法を解説しました。

文中でも触れた通り、保守的な経営を行って会社を守るべきこの時代に新規顧客獲得はリスキーな選択です。

ただ、コロナ禍で生まれたビジネスチャンスや新たなニーズも多く存在します。

例えば、アントレカレッジ会員の方は、医療従事者の命を守る防護服の輸入ビジネスを手がけ、成功されました。

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