売上戻りとは、販売した商品が返品された時に用いる勘定科目です。売上戻りを適切に使用することができると、経営分析や意思決定に大いに役立ちます。
そこで、売上戻りの意味や使い方、売上高への影響等をこの記事でお伝えします。
売上戻りとは
「売上戻り」とは、販売した商品が後日返品された場合に用いる勘定科目で、売上控除項目の1つです。売上戻り以外に「売上戻り高」「売上返品」とも呼ばれています。
売上戻りの仕訳例
例えば、「1つ10,000円の商品を5つ販売して売掛金計上したが、後日製品に不備があり1つ返品された」場合の仕訳は以下のようになります。
※販売時
貸方 | 借方 | ||
売掛金 | 50,000 | 売上高 | 50,000 |
※返品時
貸方 | 借方 | ||
売上戻り | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
売上戻りを使用せずに会計処理をする場合も多い
当然、返品があった際には売上戻りを使用して問題ありませんが、売上戻りを使用せずに直接売上高を減額する方法もあります。これを「純額主義」と呼びます。
返品の数が少ない場合等は直接減額しても良いでしょう。どちらを使用するにせよ、一度使用した方法を継続することが重要です。
上記の例で純額主義を採用した際は以下のような仕訳となります。
※販売時
貸方 | 借方 | ||
売掛金 | 50,000 | 売上高 | 50,000 |
※返品時
貸方 | 借方 | ||
売上高 | 10,000 | 売掛金 | 10,000 |
売上戻りを使用するメリット
売上戻りを使用することで売上戻り高が明確になるというメリットがあります。
事業内でどれだけの返品高があるかを知ることで、事業の改善点が見えやすくなる等、経営分析や意思決定における材料の1つとなるでしょう。
売上戻りは売上高に影響する?
売上戻りが発生した場合であっても「総売上高」には影響しません。総売上高は、売上戻り等の売上控除項目を考慮しない合計の売上高であるためです。
一方で「純売上高」には影響します。純売上高は、総売上高から売上戻り等の売上控除項目を差し引いた値であるためです。
そして損益計算書上の「売上高」は一般的に純売上高です。つまり売上戻りが多いほど、決算書上の売上高が減少すると言えます。
まとめ
「売上戻り」とは販売した商品が返品された際に使用する勘定科目で「売上戻り高」や「売上返品」とも言います。
売上戻りを活用することによって、企業の返品高が明確になり、事業改善に係る意思決定に大いに役立ちます。
当記事では、売上戻りの意味や役立つ使い方、仕訳例等を解説したため是非参考にしてください。