粗利率を高めることを考えている人が多いですが、本当に粗利率が高いほどいいのでしょうか?この疑問について、本記事で解説をします。
まずは粗利について理解したいという方は、粗利を図解で解説した別記事をご覧ください。
粗利率は高いほど優れている?
基本的に粗利率は収益性の大きさとして、高いほど優れている場合が多いです。しかし、粗利率だけで事業の良し悪しは断定できません。
事業の最終的な利益は粗利から諸費用を差し引いた金額です。そのため、粗利率が高くても他の費用が大きければ決して優れた事業とは言えません。粗利を下げたいがために、他の費用を増加させてしまっては本末転倒です。
そのため、粗利を判断材料の1つとしながらも、粗利から販売費及び一般管理費を差し引いた「営業利益」なども重点して参考にしましょう。
「営業利益」などの他の利益については後半で解説します。
「粗利率が高い≠優れている」の例
「粗利率が高いのに利益が出ないケースってどんな時?」と思う方もいるでしょう。
ここでは事業の性質が大きく異なる2つのケースを比較して「粗利率が高くとも事業が優れているわけではない」という説明を行います。
ケース1 コンサルタント業の例
例えば以下のようなコンサルタント業があるとします。
月1,500,000円の売上高があり、売上原価も存在しません。つまり、粗利率が100%で月1,500,000円の粗利を上げているのです。
しかし、一等地の事務所を賃貸し、人員も2名雇っています。このケースで諸費用を差し引いてみましょう。
粗利が1,500,000円にも関わらず、諸費用を差し引いたら200,000円となりました。
ケース2 飲食店の場合
2つ目の例として以下のような飲食店があるとします。
このお店の売上高は上記のコンサルタント業と変わりませんが、売上原価が大きいです。粗利ベースで見ると900,000円/月となり上記の例と比較して大きな差があります。
しかし、人員を雇っておらず、広告宣伝費等もありません。そこで、この事業における利益を見てみましょう。
売上原価以外の諸費用を差し引いた経常利益は550,000円となりました。売上原価はかかったものの、他の費用が抑えられていた結果です。
粗利率が低くても利益が出せるケースも多々ある
この2つのケースが、粗利が高くても優れた事業とは断言できない理由です。このような事例は数多くあります。
粗利を参考の1つとしながらも「最終的な利益はいくらになるか」という視点を持って事業に取り組むことが重要なのです。
商品・サービスの収益性を評価する際に粗利率をしっかりと出しておくのは大事なんですが、最終的に稼げているのかどうかという「マスの視点」を持たなければなりません。