企業の年商とは、年間の売上高の合計額です。
企業の年商を理解することで、事業の分析や意思決定に大きく役立ちます。一方で年商の意味が分からなかったり、他の用語と混合していると、大切な場面で誤った判断をしてしまう恐れがあります。
そこで、年商の意味や使い方、中央値等をこの記事でお伝えします。
企業における年商とは
企業の「年商」とは「企業の1事業年度の総売上」です。計算方法は「商品の単価×年間の販売個数」です。
「売上高」と同様の意味と考えている方もいますが、これらの違いは「期間」にあります。
売上高は1日や1ヵ月など、任意の期間を設定することができますが、年商は1年間の売上高に限定されています。1日や1ヶ月の売上高を表したい場合は「日商」や「月商」を用いる必要があるのです。
企業の年商の計算例
例えば「商品(サービス単価)=10,000円」「年間の販売個数=1,000個」の場合における年商は「1千万円」です。計算方法は以下の通りです。
10,000円×1,000個=10,000,000円
企業における年商の中央値はどのくらい?
2021年の中小企業白書によれば、中小企業における年商の中央値は1,500万円です。そして4割以上の中小企業が、年商1,000万円以下であることが分かります。
一方で年商10億円以上の中小企業も存在し、平均値を押し上げていることも確認できます。
しかし、これは法人と個人事業主の区分を設けずに算出した値です。法人だけに着目すると中央値は5,900万円まで向上します。更に、年商100億円以上の中小企業の割合も急激に増加していることが分かります。
また、個人事業主に限定した場合は624万円が中央値です。そして、約7割程度の個人事業主が年商1,000万円以下であるとも判断できます。
年商に関する注意点3つ
最後に年商について理解しておきたい点を3つ紹介します。この点を押さえておけば、年商の数字に惑わされなくなるでしょう。ぜひ最後まで読んでいってください!
年商は事業規模の指数になる
企業の年商は事業規模の指数となります。年商が大きいほど行っている取引の規模が大きいということです。
事業規模が分かると取引先の信用性や、自社の立ち位置が判断できます。また、数年の自社における年商を比較することで、経営状態の把握を行うことも可能です。
年商では企業の儲けは分からない
注意が必要な点は「年商では企業の儲けは分からない」ということです。何故なら企業の年商は、その売上を得るために要した費用の額が考慮されていないためです。
企業の儲けを知るためには、年商から必要経費を差し引く必要があります。そして売上から必要経費を差し引いた値を「利益」と呼び、企業の儲けを表す指数となります。
稼ぐべき年商は業界によって異なる
また、年商は業界によっても大きく異なる点を理解しましょう。
例えば、利益率(売上に占める利益の割合)が高い業界は、年商が低くても利益が出やすいため存続が可能です。その一方で利益率が低い業界が会社を存続させるためには、それだけ高い年商を上げる必要があるのです。
そのため、年商の高さでは会社の優劣を付けることはできません。
まとめ
企業の「年商」とは、その企業が年間で売上げた額の合計です。諸費用を差し引いた後の「利益」と間違いやすいため注意しましょう。
年商を正しく活用することで、取引先の信用性や自社の立ち位置の判断、経営分析等が可能です。
一方、意味を間違って覚えることで、企業の意思決定を阻害する可能性もあるため、必ず正しい意味を理解しましょう。
当記事では、企業の年商の意味や使い方、中央値等を解説したため是非参考にしてください。