新規事業立ち上げ時にフレームワークを用いることで、効率的かつ正確に作業を進めることができます。
本記事では、市場調査・アイデア出し・サービス構築・事業改善・組織改善の5フェーズに分けて42のフレームワークを解説します。
それぞれのフェーズに合わせたフレームワークを用い、効果的に事業立ち上げ〜改善までを実施しましょう。
市場調査・分析用フレームワーク7選
まずは、市場調査・分析用フレームワークの紹介です。
VRIO分析
VRIO分析は、新規事業の価値や唯一性、組織体制を図るフレームワークです。この分析によって、他社の事業と区別できる可動化を測ることができます。
VRIO分析では、下記4つの指標で新規事業立ち上げ時の評価を行います。
- Valuable:事業が顧客・経済的に価値があるか?
- Rarity:事業に希少性があるか?
- Imitability:他社に真似されないか?
- Organized:事業を運営できる組織体制か?
3C分析
3C分析は、新規事業立ち上げの際に「顧客・市場」「競合他社」「自社」の状況を分析するフレームワークです。自社のみでなく競合と市場の2点も併せて分析ができるため、俯瞰的に事業を検討できます。
3C分析では、下記3つの指標で新規事業立ち上げ時の評価を行います。
- 顧客・市場:顧客の需要や市場規模、市場の将来性など
- 競合他社:競合の商品・サービス、シェアなど
- 自社:自社の経営資源、既存商品・サービスなど
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、新規事業を立ち上げる市場の状況をマッピングし、参入機会を視覚的に整理するフレームワークです。
2軸図の指標は顧客が重視する観点で決定しましょう。上図では、ビール業界をカロリー・味の2つでマッピングしています。
マップ上には可能な限りの競合他社を配置し、その中からブルーオーシャン(競合性の低い市場)を探しましょう。
STP
STPは、新規事業立ち上げの際に顧客・需要・自社の立ち位置の3点で分析できるフレームワークです。対象とする顧客の需要を整理しつつ、市場における自社・他社の立ち位置を明確にできます。
STPでは、下記3つの指標で新規事業立ち上げ時の評価を行います。
- Segmentation:市場を細分化した際の顧客の需要
- Targeting:新規事業が対象とする顧客
- Positioning:自社・他社の商品・サービスやシェア、狙う立ち位置
SWOT分析
SWOT分析は、自社の強み・弱みを内部・外部環境に整理して分析できるフレームワークです。強み・弱みが分かれば、攻めるべき市場と補うべき要素が明確になります。
新規事業立ち上げの際には、強みを生かした事業にアドバンテージがあります。立ち上げ前に自社の要素を整理しましょう。
SWOT分析では、下記4つの指標で新規事業立ち上げ時の評価を行います。
- Strength:競合よりも優れている自社の強み
- Weakness:競合よりも劣っている自社の弱み
- Opportunity:新規事業立ち上げが好機になりうる理由
- Threat:新規事業立ち上げで脅威となりうる存在
ここで4要素を明確にすることで、次項のクロスSWOT分析を活用した事業戦略の策定に活用が可能です。
クロスSWOT分析
クロスSWOT分析は、SWOT分析の4要素を掛け合わせることで具体的な経営戦略を考案できるフレームワークです。各要素を明確にした後に戦略を策定できるので、より具体的な新規事業案を作成可能です。
クロスSWOT分析では、下記4つの指標で新規事業立ち上げ時の戦略策定を行います。
- Strength / Opportunity:自社の強みを活かして、市場参入の機会を作り出す。
- Strength / Threat:自社の強みを活かして、脅威を解消する戦略を考案する。
- Weakness / Opportunity:自社の弱みがあっても獲得できる好機を検討する。
- Weakness / Threat:自社の弱みと脅威を最小化できる方法を考案する。
アドバンテージマトリクス
アドバンテージマトリクスは、2軸で新規事業を立ち上げる市場を評価できるフレームワークです。市場の競争要因数と優位性が構築できる可能性で市場を評価し、4つの事業タイプに分類できます。
- 分散型事業:競合が多く、優位性の確保が困難。大企業が多い傾向。
- 特化型事業:競合が多く、優位性の確保をしやすい。差別化要因が必要。
- 手詰まり型事業:競合が少なく、優位性の確保が困難。大企業が少ない傾向。
- 規模型事業:競合が少なく、優位性の確保をしやすい。事業投資をすれば市場のシェアを獲得しやすい。
アイデア出し用フレームワーク9選
次にアイデア出し用フレームワークを解説します。
SCAMPER(スキャンパー)
SCAMPERは、既存アイデアを7項目で検討し、新規事業アイデアを出すフレームワークです。広い視野で考えられるので、これまでになかったアイデアを出すことができます。
SCAMPERでは、以下7項目で起業アイデアを出します。
- Substitute:【素材・形・人・場所】を他のもので代用したら?
- Combine:【部品・素材・特徴】を組み合わせたら?
- Adapt:【他の商品やサービス・他事業】に適応(応用)したら?
- Modify:【色・大きさ・厚さ・回数・時間】を変えてみたら?
- Put to other uses:【素材・部品・人】を別のものに置き換えたら?
- Eliminate:【作業工程・人・部品】を省略(除去)してみたら?
- Reverse/Rearrange:【順番・時間帯・場所】を入れ替えてみたら?
MECE
MECEは、情報を整理する際に重複・抜け落ちを防ぐことができるフレームワークです。
- Mutually:相互に
- Exclusive:重複がない
- Collectively:全体的に
- Exhaustive:抜け落ちがない
上図は集客施策を考える際の例ですが、悪い例では施策に漏れ・重複が見られます。一方、良い例ではMECEの状態になっていることが分かります。
形態分析法
形態分析法は、1つのテーマを複数の項目に分けて、ランダムに組み合わせることで新たな新規事業アイデアを生み出すフレームワークです。
下図は「カフェ」というテーマに対し「価格帯・立地・雰囲気」の3項目を書き出した例です。
価格帯 | 立地 | 雰囲気 |
---|---|---|
高価格帯 | 駅付近 | 図書館のように静か |
中価格帯 | 百貨店 | 地元民で賑わう |
低価格帯 | マンション1階 | バーのように大人な |
これらをランダムに書き出すと、以下のような新規事業アイデアが生まれます。
- 高価格帯でマンション1階にあるバーのように大人なカフェ
- 低価格帯で百貨店内にある図書館のように静かなカフェ
ランダムな組み合わせで思ってもみなかった商機が見えてくる可能性もあります。
ステークホルダーマップ
ステークホルダーマップは、新規事業立ち上げにおける資源(ヒト・モノ・カネ)を可視化するフレームワークです。事業に関わる要素を明確にしておくことで動きが整理され、必要なタスクが分かりやすくなります。
上図は、百貨店とマンションの住人を結ぶカーシェアサービスを例にしたステークホルダーマップです。このように図解すると、利害関係や提供しあうリソースが分かります。
MVV
MVVは、事業における存在意義・中長期的な目標・行動指針などを明確化するフレームワークです。MVVを策定すれば都度、原点に立ち返ることができ、組織内で価値観を共有することも可能です。
新規事業立ち上げから運営にあたっては方向性を揃えることが重要です。MVVを策定し、ブレない事業運営を目指しましょう。
MVVでは下記3項目を書き出します。
- Mission:事業が果たすべき役割
- Vision:事業が中長期的に設定する目標
- Value:事業における価値観や姿勢
ペルソナ分析
ペルソナ分析は、顧客を明確化し、その顧客の需要に応える新規事業を作るためのフレームワークです。市場調査などを行い適切にペルソナが設定できれば、市場に受け入れられる事業立ち上げが可能です。
また、ペルソナを設定することで商品・サービス開発、マーケティング、デザインなど事業の全セグメントの方向性を揃えることができます。
5W1H
5W1Hは、1つのテーマを6項目に分けて考えることで、新たな新規事業アイデアを生み出すことができるフレームワークです。
5W1Hでは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の観点から検討します。
例えば、英語学習サービスをテーマに「What」を変更すると、「ドイツ語学習サービス」「中国語学習サービス」などを思いつくことができます。
他にも「Where」を変更すると「オンライン学習」「自宅学習」などを思いつけます。
このように、既存事業の1要素だけでも変えれば、新規事業アイデアになる可能性もあります。
6W3H
6W3Hは、1つのテーマを9項目に分けて考えることで、新たな新規事業アイデアを生み出すことができるフレームワークです。
5W1Hに、Whom(誰に)・How many(どれだけ)・How much(いくらで)の3項目を追加します。
オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストは、既存アイデアを9項目で検討し、新規事業アイデアを出すフレームワークです。
以下9項目で起業アイデアを出します。
- 転用:【素材・形・人・場所】を他のもので転用したら?
- 拡大:【部品・素材・商品】を拡大したら?
- 縮小:【部品・素材・商品】を縮小したら?
- 置換:【素材・形・人・場所】を他のものに置き換えたら?
- 逆転:【順番・上下・左右】を逆転したら?
- 変更:【素材・部品・厚生】を他のものに変更したら?
- 代用:【人・部品・素材】を他のもので代用したら?
- 結合:【特徴・構成】を混ぜたり、組み合わせたら?
サービス構築用フレームワーク12選
次に新規事業立ち上げ時におけるサービス構築のフレームワークを解説します。
4C分析
4C分析は、顧客を中心にして新規事業立ち上げの方法を考えるフレームワークです。自社ではなく買い手を主軸に考えるため、市場に受け入れられやすい事業を考案しやすくなります。
4C分析では、下記4項目を軸に新規事業を検討します。
- Customer Value:顧客が事業から得られる価値
- Cost:顧客が事業によって費やす費用・時間
- Convenience:顧客が事業を利用する上での利便性
- Communication:顧客の声を汲み上げる方法
4P分析
4P分析は、自社の視点から新規事業立ち上げ時の商品・サービスや市場について検討できるフレームワークです。4C分析と併用することで、売り手・買い手両者を俯瞰した事業を考えることが可能です。
4P分析では、下記4項目を軸に新規事業を検討します。
- Product:事業で提供する商品・サービス
- Price:商品・サービスの価格
- Place:事業で利用する流通経路
- Promotion:事業の販売促進方法
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、新規事業を立ち上げる市場の脅威(フォース)を5項目に分け、業界の収益構造・自社の競争優位性を探るフレームワークです。
どの市場にも競合が存在し、売り手・買い手の状況が新規事業の成功を左右します。事業の脅威を明確にすれば、立ち上げ前に対策を練ることができます。
ファイブフォース分析では、下記5項目を検討します。
- 新規参入:業界の新規参入事業の存在
- 競合:業界内での競争や特徴
- 代替品:新規事業の代替となりうる既存事業
- 売り手:サプライヤーとの関係性
- 買い手:顧客との関係性
マンダラート
マンダラートは、目標達成に必要な戦略を書き出し、その手段に必要な行動をマスに書き出すフレームワークです。
3×3のマスに思いつく限りのアイデアを書くことで、目標へ向かう8つの戦略と、その戦略を実現する小さなアクションを整理できます。
大谷翔平選手も高校時代にプロ野球選手になるためにマンダラートを利用していたことが有名です。大きな目標もスモールステップで切り分ければ、実現は可能だという好例です。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、新規事業の構造を9セグメントに分割して可視化できるフレームワークです。事業モデルへの理解が深まり、現状確認・戦略構築に活用できます。
ビジネスモデルキャンバスでは、下記9項目を書き出します。
- 主要パートナー:事業に欠かせないパートナー企業・個人
- 主要な資源:事業が価値提供するのに欠かせない要素
- 主要な活動:事業の主な活動・ビジネスモデルの実行方法
- 顧客との関係:顧客と構築したい関係
- 提供価値:事業で提供する価値
- チャネル:価値提供の方法・経路
- 顧客セグメント:事業で価値を提供する顧客
- コスト構造:事業にかかる固定費・変動費
- 収益の流れ:マネタイズのポイントや方法
AIDMA
AIDMAは、顧客が商品・サービスを認知するところから購入に至るまでの機会創出を整理できるフレームワークです。販売導線や購入理由を明確にすれば、新規事業立ち上げ時にやるべきアクションが見えてきます。
AIDMAでは以下5項目を書き出します。
- Attention:顧客に商品・サービスを認知させるタイミング・方法
- Interest:顧客に商品・サービスへの関心を持たせるタイミング・方法
- Desire:顧客に商品・サービスを欲しくならせるタイミング・方法
- Memory:顧客に商品・サービスを記憶させるタイミング・方法
- Action:顧客が商品・サービスを購入させるタイミング・方法
AISAS
AISASは、インターネット上で顧客が商品を認知し購入に至るまでの過程を明確化できるフレームワークです。
AIDMAは購入全般に関わるものですが、こちらはネットショップなどオンライン事業に特化しています。
AISASでは以下5項目を書き出します。
- Attention:顧客に商品・サービスを認知させるタイミング・方法
- Interest:顧客に商品・サービスへの関心を持たせるタイミング・方法
- Search:顧客が商品・サービスについてネット検索をするタイミング・方法
- Action:顧客が商品・サービスを購入させるタイミング・方法
- Share:顧客が購入した商品・サービスをSNSなどで共有するタイミング・方法
SIPS(シップス)
SIPSは、会社の理念などへの共感を起点として事業のコミュニティに参加を促すフレームワークです。
オンラインサロンやSNSなどが事業の根幹にある場合、購買意欲よりも先に事業への興味・関心からマネタイズポイントを探すことが効果的です。その際、SIPSを活用できます。
SIPSでは下記4項目を検討します。
- Sympathize:事業に対する顧客の共感
- Identify:事業が発信する情報の有益性の確認
- Participate:事業のコミュニティへの参加
- Share&Spread:顧客から別の顧客への共有・拡散
DECAX(デキャックス)
DECAXは、顧客が事業を発見するところから購買・拡散するところまでの過程を整理するフレームワークです。
SNS活用を前提としており、各過程ごとに事業が発信する情報に触れ、顧客が次フェーズへと深化していく点が特徴です。
DECAXでは下記5項目を整理します。
- Discovery:商品・サービスの存在を消費者が自らの行動で発見する
- Engage:事業が発信する情報の有益性により、消費者との関係を構築する
- Check:良好な関係性を築いた消費者が事業の商品・サービスを確認する
- Action:消費者が商品・サービスを購入する
- Experience:消費者が商品・サービスを体験し、感想を共有・拡散する
アンゾフの成長マトリクス
アンゾフの成長マトリクスは、商品・市場の2軸で新規事業の立ち上げから成長までの戦略を構築できるフレームワークです。4セグメントを掛け合わせることで、事業の目的を明確化できます。
アンゾフの成長マトリクスでは、下記4項目で戦略構築を行います。
- 既存市場 / 既存商品:これまでの市場に既存商品を投入し、売上高・シェアを拡大する
- 既存市場 / 新規商品:これまでの市場に新商品を投入し、新たな需要を獲得する
- 新規市場 / 既存商品:新市場に既存商品を投入し、新たな需要を獲得する
- 新規市場 / 新規商品:新市場に新商品を投入し、リスクを取りつつハイリターンを得る
Product-Led Growth(PLG)
PLGは、プロダクトをユーザーに無料で開放し、価値を感じさせることでマネタイズさせる流れを整理したフレームワークです。この過程では人(事業者)の手をほとんど介さず、プロダクトの魅力のみにより収益の流れを拡散させるところがポイントです。
Product-Led Growthを日本語訳すると「製品が事業の成長を牽引する」となります。従来は営業ありきの事業が通常でしたが、ZoomやSlackのように商品の良さで収益拡大するPLGモデルが現在のトレンドとなりつつあります。
Sales-Led Growth(SLG)
SLGは、認知から顧客化までを営業ありきで行う過程を整理するフレームワークです。PLGとは対極の存在であり、従来の販売導線の多くがSLGを採用しています。
PLG・SLGには向き不向きがあり、前者はその場で購入を即断できる低価格商品、後者は営業で価値を伝える高額商品向きです。
事業の修正・改善用フレームワーク8選
次に事業の修正・改善に活用できるフレームワークを解説します。
PLC(プロダクトライフサイクル)
PLCは、製品の売上と利益の変遷をグラフ化し、それぞれの段階の戦略を整理するフレームワークです。
どのような製品にもライフサイクルが存在し、売上はいつまでも保持できるわけではありません。あらかじめライフサイクルに合わせた戦略を策定することで、都度正しい施策を打つことができます。
PLCは下記4期に分割できます。
- 導入期:商品の投入段階。売上が小さく、開発や認知度向上のための施策に費用がかかる。
- 成長期:売上・利益が拡大する段階。競合の参入も見られる。消費者需要も多様化するため、市場に合わせた施策が必要。
- 成熟期:売上・利益の成長が鈍化する段階。シェアを維持し、利益を確保する必要がある。
- 衰退期:市場全体の売上が下落する段階。ニッチ市場を探して利益を確保するか、事業を撤退させる必要がある。
ECRS
ECRSは、事業改善を4段階に分割し、それぞれのフェーズで効果的な戦略を整理できるフレームワークです。
事業を改善するにも優先順位があり、順番を守ることで迅速かつ効果的に修正が行えます。その際にECRSが有効です。
ECRSでは、以下4項目を順番に検討します。
- Eliminate:無駄な過程を省く
- Combine:複数の過程をまとめる
- Rearrange:業務の順番を変え、効率化を図る
- Simplify:過程を簡素化させる
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、新規事業が生み出す価値を1つの流れとして捉え、さらに事業の営みを主活動・支援活動に整理できるフレームワークです。
価値提供を改善するには、上流から下流までの流れを分割して段階にあった施策が必要です。その際にバリューチェーン分析が活用できます。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーは、主張と根拠をピラミッド状に整理して主張の流れを整理できるフレームワークです。
元々はコンサルタントの間で利用されたフレームワークでしたが、事業が新たな取り組みをする際にその主張の確実性を整理するためにも活用できます。
PDCA
PDCAは、施策の計画から改善までの流れを4フェーズで整理できるフレームワークです。個人の日常的な取組から大事業の施策にまで応用できる順応性の高い枠組みのため、多くの場面で活用されます。
PDCAは下記4項目で実施できます。
- Plan:目的達成に必要な計画を立てる
- Do:計画に沿って実行する
- Check:実行後の結果を評価をする
- Act:評価を元に改善案を策定する
RFM分析
RFM分析は、事業の既存顧客を評価する際に役立つフレームワークです。利用頻度や購入金額、利用の直近日で評価し、その点数によって施策を切り替えることができます。
例えば、前回の購入日が最近で、来店頻度が高く、購入金額が高額な顧客の場合は、さらにロイヤルティを高めるためにプレゼントを送るなどが考えられます。
逆に前回の購入日が最近で、来店頻度が低く、購入金額が低い顧客の場合は、アンケートなどで興味関心を探り、それに合わせた商品提案などが行えます。
マーケティングファネル
マーケティングファネルは、事業の認知から行動までの5フェーズにおけるユーザー総数の変遷を整理できるフレームワークです。
上図のように、認知〜行動(購入)にかけてユーザー数は減少する傾向にあります。一方、段階が深化するにつれて購入確度は高まります。
各フェーズに合わせたマーケティング施策を行うことで、事業の収益化の確実性を向上できます。
AARRR
AARRRは、事業の成長段階を5つに分け、各フェーズの状況や課題を整理できるフレームワークです。
1つの事業を細分化することで適切な施策が検討できます。その際にAARRRが役立ちます。
AARRRでは、下記5項目に沿って現状・課題の整理をします。
- Acquisition:顧客をどこから獲得しているか
- Activation:顧客がどれくらい良い体験をしているか
- Retention:顧客が継続して商品・サービスを利用しているか
- Referral:顧客が周囲に商品・サービスを紹介しているか
- Revenue:顧客の活動をマネタイズできているか
見直しと組織改善用フレームワーク6選
最後に見直しと組織改善に役立つフレームワークを解説します。
ロジックツリー
ロジックツリーは、目的に対する戦略・具体的な行動を図式化できるフレームワークです。また、事業の課題に対するアクションプラン策定にも活用できます。
7S
7Sは、経営資源を7分割して、組織の現状や課題、今後の戦略を明らかにできるフレームワークです。
7Sでは、下記7項目を整理します。
- Strategy:目標達成のための戦略
- Structure:事業の仕組み・特徴
- System:事業のルーティン(会議・報告方法など)
- Staff:事業の従業員
- Style:事業の文化や組織幹部の経営スタイル
- Skills:他事業と差別化できる能力や特質
- Shared Value:事業が構成員に共有する価値観や理念
バリューポートフォリオ
バリューポートフォリオは、事業をビジョンとの整合性と資本効率の2軸で評価できるフレームワークです。評価によって事業を撤退するのか、改善するのか、継続するのかを考えることができます。
バリューポートフォリオでは、以下4領域に事業を分割できます。
- 本命事業:ROI・整合性ともに高い。自社にとって理想的な事業で投資家からの評価も良い。
- 機会事業:ROIのみ高い。ビジョンと乖離が生じており、事業ビジョンや事業の展開領域の再定義が必要。
- 課題事業:整合性のみ高い。ROIを上げるため、売上増加・コスト削減のどちらかで施策が必要。
- 見切り事業:ROI・整合性ともに低い。本業と乖離しており、利益も出ないので撤退が推奨される。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
PPMは、企業が持つ全事業を2軸図上に配置することで経営資源を適切に分配できるようになるフレームワークです。
市場の成長性とシェアの2軸で事業を評価することで限られたリソースを優先的に分配すべき事業がわかるため、複数事業を持つ企業が活用できます。
PPMでは、下記4領域に事業を分けます。
- 花形:最優先事業。優先的に経営資源を投資する。
- 金のなる木:事業的魅力は低いが収益性は高い。花形・問題児の事業に利益を回す役割。
- 問題児:シェアを高め、花形事業へ成長させるべき事業。
- 負け犬:魅力・収益性が低い。素早い撤退を推奨。
CVCA
CVCAは、事業のステークホルダーを洗い出し、お金・情報などの商品の流れを図解するフレームワークです。図解することで、流れの改善点を見つけることができ、事業を最適化できます。
上図はECサイトのCVCA例です。メーカー・ECサイトにキャパシティがある場合、卸売会社への仲介を省くことで1行程を省略可能であることが明確になります。
PEST分析
PEST分析は、事業を取り巻く環境の状況把握・戦略策定に役立つフレームワークです。
市場以外にも政治や社会的動向により、事業成績は変動します。この点も考慮に入れることができるのがPEST分析の強みです。
PEST分析では、下記4点を整理します。
- Political:政府による規制案や促進案により、消費が進むものはないか?
- Economical:経済水準や所得の変化はないか?
- Social:人口の増減や人々の価値観・流行の変化はないか?
- Technological:事業に影響を与えるような技術革新は起きていないか?
新規事業立ち上げフレームワークまとめ
新規事業立ち上げ時にフレームワークを用いることで、効率的かつ正確に作業を進めることができます。
それぞれのフェーズに合わせたフレームワークを用い、効果的に事業立ち上げ〜改善までを行いましょう。