起業後に「たった7つの方法を取り入れるだけ」で倒産の確率を格段に下げることができるのをご存知でしょうか。
- 経営状況を正しく把握する
- 先行投資を正しく行う
- リスクに備える
- 費用を抑える
- 顧客の立場に立って考える
- 明確な目標を持つ
- 従業員を大切にする
この7つを意識することで起業後の倒産を避けられることはもちろんのこと、組織が強くなり、収益を上げることも可能となります。本記事では、起業後の倒産を避ける方法をお伝えします。
企業生存率から見る倒産状況
起業後に存続している会社の割合を「企業生存率」と言います。

中小企業庁の調査によれば、起業した会社の1年後の生存率が約97%となっています。同年に100社設立されたとしたら、1年で3社が廃業している計算となるのです。そして、5年後には約20%、10年後には約30%、20年後には約50%の会社が退出しています。
次に業種別の廃業率に着目します。

同じく中小企業庁によって行われた調査によりますと、「宿泊業・飲食サービス業」の廃業率が非常に目立っています。
しかし、これらは開業率も高い業界であり、単に入れ替わりが激しい業界と言えるでしょう。
これらの業種は「競争相手が増えているわけではないが、廃業する会社が多い」つまり「日本における需要が減っている会社」なのです。
例えば、上記の表の「小売業」や「鉱業,採石業,砂利採取業」が危険な業種に該当します。
決して高くない生存率の中、需要が減っている業界で生き残るのは容易ではありません。
起業後の倒産原因5選
まずは、起業後の倒産原因について以下の5点を解説します。
- 販売不振
- 既往のしわよせ
- 放漫経営
- 連鎖倒産
- 過小資本
企業の倒産理由 – 中小企業庁より
2021年の倒産件数は6,030社(中小企業庁資料)。倒産の原因は「販売不振」が約4,403件と断トツで多い状況です。

続いて「既往のしわよせ(674件)」「連鎖倒産(299件)」「放漫経営(284件)」「過小資本(101件)」が主な倒産理由となっています。これらの原因を1つずつ解説します。
販売不振
「販売不振」とは、売上が上がらずに資金がショートしてしまう事を指します。倒産原因の大部分を占めており、倒産した会社の約4分の3が販売不振を理由としているのです。
売上が徐々に減少するケースと急激に減少するケースがあり、特に売上が急激に減少するケースは早急に対応を行う必要があります。
もし販売不振でお悩みであれば、もう一度マーケティングを徹底的に行って見込み客の再設定をしてみましょう。
既往のしわよせ
「既往のしわよせ」とは「経営状態が悪化しているにも関わらず、具体的な対策を講じないがために倒産に至る」事を指します。
どこからか借り入れを行っているわけではないが、過去に蓄積した資産を切り崩して経営を行っている状態です。
過去に黒字を出していたという事実があり、人材の高齢化や設備の老朽化が原因となる場合や、従来から存在する大口顧客を重視するあまり、新規開拓を行っていないことなどが原因として挙げられます。
既往のしわよせを感じたら、早急に経営回復に向けて対策を行う必要があります。
私たちのような零細企業や個人事業主は資本が少なく、さらに機敏に時代に対応していく必要があるのです。
放漫経営
「放漫経営」とはその名の通り、ずさんでいい加減な経営を行うことにより倒産するケースです。トップのワンマン経営や本業以外への出費などが原因となります。
放漫経営は、業績が良い時は表立たないが、業績が落ちている際に表立ってくるという特徴があります。
連鎖倒産
「連鎖倒産」とは「特定の企業の倒産に巻き込まれて、自社も倒産する」というパターンです。
特定の取引先を重視しすぎて、リスクの分散をできていないなどの原因があります。親会社と子会社の関係や、大企業とその下請けの関係などでも起こり得ます。
過小資本
「過小資本」とは、資本金が少ないことが原因となり会社が倒産するケースを言います。
従来は最低資本金制度というものがあり、会社を設立するには一定の資本金を準備する必要がありました。
しかし、2006年に最低資本制度が撤廃され、極端な話1円からでも会社を設立できるようになりました。
極度に少ない資本金で起業すると、資金を回すことができない、急な出費に対応できない等の事由が発生して、倒産に至ってしまうことがあります。
起業後の倒産を避ける7つの方法
決して高いとは言えない生存率の中で生き残るには何を行うべきでしょうか。ここでは成功のために行うべきことについて以下7つ紹介します。
- 経営状況を正しく把握する
- 先行投資を正しく行う
- リスクに備える
- 費用を抑える
- 顧客の立場に立って考える
- 明確な目標を持つ
- 従業員を大切にする
経営状況を正しく把握する
競争の中で生き残るためには経営状態を正しく把握する能力は必須とも言えます。「決算が出ないと収支が分からない」のような経営は大変危険です。
財務計画の立案を習慣化する、経営状況に異変が起きたら即座に対応できるようにするなどの習慣や知識を身に付けましょう。
先行投資を正しく行う
目先の利益だけに囚われずに、先を見て投資をすることが成功するためのポイントの1つです。
「パートを雇うという選択肢は目先の費用は抑えられるが、将来を担う人材を育成するために新入社員を雇用する」「需要の伸びが予測できる新規事業を企画する」など未来に対する投資を正しく行う事が大切です。
利益が出るのには時間がかかりますが、現在の事業で収益が出なくなった時に支えてくれるアセットとなるでしょう。
現在の事業がうまくいっている時こそ、将来に備えて対策を練るタイミングだと言えます。
リスクに備える
「取引先が倒産に巻き込まれて経営が追い込まれた」「業界全体に打撃を与える出来事があった」など、経営には様々なリスクが存在します。
その様な数あるリスクに備える事が会社を存続させるポイントです。
「事業を多角化する」「取引先を複数持つ」などして、リスクに備えた経営を行いましょう。
アントレカレッジでも、経営者として複数の「ポートフォリオ」を持つことを推奨しています。
つまり、単発高利益の事業だけではなく、安定収益型の事業も併せて経営するということです。
複数の業種・事業モデルを掛け合わせることで、組織全体として強くなることができます。
過去、Google広告で高収益を出していた事業が「アドワーズショック」で規制されて、危機に陥るという自体がありました。
1つの事業に偏ると、依存先の仕様が変わることで従来のように利益が出せなくなるというリスクがあります。
だからこそ当スクールでは、経営者・起業家として長期にわたり活躍するためのノウハウも指導しています。
費用を抑える
利益を出す方法として、売上を伸ばす方法があるのはもちろん、費用を抑えるという方法があります。
売上が低迷してから費用を検討するのではなく、それ以前から適切な費用管理を行いましょう。
費用を抑えるには「広告費を削減し、YouTubeやSNSを活用したマーケティングを行う」「残業をさせないマネジメントを行い残業代を削減する」「固定費を見直す」などといった手法があります。
また近年、リモートワークが浸透しています。講師・中村司の経営する語学学校はフルリモートを実現しており、これによりオフィスや交通費、備品などにかかる費用をカットすることができました。
こういった社会情勢も生かし、コストをできるだけ抑える工夫が必要です。
顧客の立場に立って考える
起業して成功するためには、顧客または取引先の立場になった経営を行うことが大切です。
的確にニーズを把握してより需要のあるサービスを提供する事により、固定の顧客を手に入れることができます。
また、視点を変えて考えることにより新たなアイデアにも繋がることがあるというメリットもあります。
明確な目標を持つ
起業して成功するために、明確な目標を持つことは非常に大切です。より具体的な目標を立てることによって経営の指針となります。
そして大切なことは、目標を全体に共有することです。全体が同じ目標を意識することにより、全員が同じ方向を向き、生産性の向上にも繋がります。
講師・中村のグループ会社では、企業全体の価値観を統一するための「コモンバリュー・スタンダード」を制定しています。
会社としての方向性を1つの文書として定めることで、全体として1つの方向を向いた活動が可能となるのです。
従業員を大切にする
成功している多くの企業に共通していることは「従業員を大切にしている」という点です。具体的には、福利厚生や環境を整えるなどの従業員の立場になった経営を行いましょう。
その結果として従業員のモチベーションが上がり、高い生産性に繋がるでしょう。
社員が会社のために働くのが責務なら、経営者として社員を守るのも責務であると考えましょう。
倒産後の選択肢2選
事業に失敗して、会社が倒産してしまった際、その後はどのような選択肢があるのでしょうか。
ここでは以下2点を紹介します。
- 再び起業する
- 同職種の企業に就職する
再び起業する
一度会社が倒産しても再び起業することも可能です。
中には2度目の起業で成功した人も数多くいます。自身の環境が許すのであれば選択肢の1つとして十分に考えられます。
特に起業家・経営者として長く活躍するためには、経済的に「致命傷」を負わないことが重要です。
借金をして起業し、事業が失敗したら残るものは負債だけです。もしくは、赤字を垂れ流し続けて倒産しても、やはり残るのは借金のみです。
講師・菅野一勢は、上杉鷹山の「見切り千両」という言葉をよく用いますが、撤退時期を見極めて引く時には引くことで、将来的にリトライすることができるのです。
再挑戦支援資金制度の利用
日本政策金融公庫には、廃業歴のある創業者を対象とした「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」があります。融資限度額は7,200万円以内と範囲が広く、再び起業したい方にとって心強い制度です。
このような制度を活用することも、倒産後の選択肢の1つです。
同職種の企業に就職する
選択肢の1つとして同職種の企業に就職するという選択肢があります。中には事業で失敗したというネガティブな評価をする場所がある可能性もあります。
一方で、会社のトップで大きな責任の中事業を行っていたという事実は、大きな評価に繋がる場合もあるでしょう。
また会社勤めなら組織のリソースをフル活用できるというメリットがあります。
実際、講師・中村は事業資金の調達のため、サラリーマンとして新規顧客開拓部署に就職し、様々なマーケティング技法を試験的に実施。
自身のスキル開発と並行して、従来の4倍もの顧客獲得に成功しました。
このように、就職を「お金をもらいながら、勉強をさせてもらえるチャンス」と捉えることもできるのです。
一度起業に失敗したら、自分に何が足りなかったのかを整理して、その不足分を補うことができる会社に勤めることは非常に有意義です。
まとめ
会社を起業するという事は倒産のリスクを背負うという事です。決して高いとは言えない生存率の中で、起業して成功するためには倒産の原因を正しく把握し、対応することが大切です。
当記事では、起業して生存し続けるために行うべきことを7つ紹介しました。
紹介した7つのポイントを行うことを意識したスタートアップをしてみてはいかがでしょうか。
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